「ソバージェネレーション(しらふ世代)」の遊び方は?Liquid Death x Gopuff
Liquid Death(リキッド・デス)は2017年に米国で設立された飲料メーカーで、若者を中心に売上拡大させている注目のブランドです。
主商品はオーストリア・アルプスで汲まれた天然水になるのですが、まるでビールのようなデザイン缶で販売されており、コンサートやナイトクラブでの販売を伸ばしています。「Murder Your Thirst(あなたの乾きを殺す)」をキャッチフレーズに、エッジの効いたキャンペーンを行っており、従来の飲料水のイメージを変えるブランディングが話題となっています。
最近ではGopuff(日用品/食品のデリバリーサービス)とのコラボレーションを行い、抽選でオリジナルなバスタブが当たる、というキャンペーンを実施。キャンペーンビデオでは、ハウスパーティーをしているところにバスタブが届けられ、ビールの代わりにLiquid Deathを飲みながらバスタブを楽しむ様子が描かれます。最後にはなぜかGopuffの宅配員もパーティーの輪の中に加わる、というオチ。
若年層のアルコール離れが進んでいることは調査からも見て取れます。Gen-ZはSober Generation(しらふ世代)と呼ばれており、その多くは「パーティーにお酒は必ずしも必要ではない」と考えていることがわかりました。
この世代の多くは、(大騒ぎというよりも)より賢くパーティーを楽しむことを求めており、多くはお酒で自制心を失うことを避け、また健康意識の高まりからもアルコールは遠ざけられる傾向が見て取れます。
実際に、Heinekenは「社交の場でお酒を飲まない気まずさの解消」としてノンアルコールビールを売り出し、イギリスのSeedlipは「明日の仕事に響かせないため」とノンアルコールスピリットを推奨するなど、他の飲料ブランドも、若年層の新たなニーズに応えるようなコミュニケーションを行っています。
古代ギリシャのワインから、南米の先住民が噛んでいたコカの葉など、歴史的にも「酔う」ことが催事には欠かせないものだったことを考えると、現代の若年層の意識は過去からも大きく変化していることがわかりますね。
「社会正義実行のプラットフォーム」に。Deep Tropics
近年は環境へ配慮した音楽フェスティバルが世界各国で増えてきており、その代表的な一つとして、米国のテネシー州で開催されている「Deep Tropics」が挙げられます。
同フェスティバルでは、ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)を目標に掲げており、会場にはゴミ箱は設置せず、使用されている素材はすべてリサイクル/堆肥化が可能なものに限られています。また、ステージパフォーマンスの電力には太陽光発電を使用し、同時にタンザニアに植林を行うことで、フェスティバル全体でのカーボンニュートラルを達成しています。イベントでは来場客に対して、持続可能性、気候変動、環境に配慮した様々なライフスタイルのワークショップも開催されており、フェスティバルを通しての環境活動が高い評価を得ています。
調査からも、若年層の多くは、大型イベントを「社会正義を表現/実行する場」として捉えていることがわかり、Deep Tropicsのように環境に配慮したフェスティバルに賛同する傾向の高さが理解できます。
また環境以外にも、DE&I(多様性、公平性、包括性)に対しての意識が高いこともわかります。たとえば、毎年アトランタで行われている、ONE Musicfestでは、黒人文化、LGBTQ+文化への支援を掲げており、出演アーティストの選定、イベントでのワークショップやパネルディスカッションの実施、ジェンダーニュートラルな会場デザインなど、多くの若年層からの支持を集めるイベントとして、米国南部での最も大きな音楽フェスティバルへと成長しています。
過去を遡ると60年代における反戦運動など、フェスティバルがデモの場になっていたケースもありますが、今の若年層は社会正義の実行の場としてフェスティバルを捉えている側面が見て取れますね。