フジテレビに提案する、新しいアプローチ
一気にCMを減らして希少価値を訴えていくという荒療治は、フジテレビにしかできないだろう。同社にはこの機会にCM枠を減らし、番組とともにネイティブなCM作りを行うことを提案したい。
なぜなら今後、広告クリエイティブというものは、人の手でじっくり時間をかけて制作するものではなくなるからだ。じっくり作っているとタイミングを逃す。
CMもコンテンツであり、そのコンテンツの賞味期限内にリアルタイムで送り込む必要がある。ネイティブCMが機能するのも、番組コンテンツの文脈にあって、直後のタイミングだからだ。この点はリスティング広告と一緒である。リスティング広告は検索ワードの文脈に合わせて広告を出すものだが、検索直後の画面に表示されることでその効果を発揮する。
近い未来、テレビのネイティブCMは、前メタデータをもつテレビ局がAIを使って制作するようになるだろう。
そして、そうなると広告代理店のクリエイティブはますます今のままでは要らなくなる。広告業界は従来コアスキルだった「クリエイティブ」から人財の必要性がなくなる。私が数年前から言っていることだ。
継続は力なり。テレビの効果は長期スパンで考えよ
さて、かなり昔の話だが、ある外資系食品会社がテレビへの出稿をやめてみた。半年くらいまではまったく売り上げに影響はなく、「なんだ、テレビCMの効果などないではないか」と言っていたが、半年から1年後に、ボディブローのようにやめたリバウンドが効いてきて、いろいろなプロモーションをやっても効かなくなった。焦ってテレビを再開したがその効果が戻るのにまた1年くらいかかった。
フジテレビから引いても、スポンサー各社の売り上げに影響がない現象はもちろん起こるだろう。他局に出稿していれば当然だ。ただこれをテレビに効果がないと考えたら大間違いだ。やめて落ち込んだブランドのコミュニケーションの蓄積量を回復するには、継続している場合の投下量よりはるかに多くなる。
それだけテレビの効果は、マーケティングの時間軸が長いのだ。
継続は力なりですよ。広告主の皆さん。