忘れられがちな「顧客理解」
「Show Me You Know Me」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか? 直訳すると、私のことを知っていることを見せてくださいという言葉ですが、これは最近海外のマーケティング、セールスの場面でよく使われる単語で見込み顧客などと電話やE-mailなどで接触する場合に、SNSやニュースサイトで集めた情報を盛り込んで「私はあなた(見込み顧客)の事を知っていますよ」を示す事が重要という意味で使われる単語です。
GTMを必要とするような新製品、新規市場へのアプローチにおいては、自社がそもそもとして有名ではなく、自社の既存の市場のように信頼度があるわけでもないという前提に立ち、相手のことを知っている、ニーズをきちんと把握していることを見せることで信頼を得る必要があります。
そのためにも、顧客企業の解像度を上げ、自社が「認知していないニーズ」を把握し、それを基にビジネス開発を行うことが重要になります。
出典:ジョハリの窓を参考に筆者作成(注1)
近年話題になっている、両利きの経営(「既存事業の強化」と「新規事業の立ち上げ」を両立させる経営手法のこと)理論でも新しい事業を考案するために自社の既存領域の枠を超えて、遠くに認知を広げる事が重要だとされています(注2)。
ここで言う認知とは「自社が顧客企業のニーズを認知する」「顧客企業に自社のシーズ(技術力、強み)を認知してもらう」という双方向の認知の向上が必須になります。そのためにはICP(Ideal Customer Profile)とよばれるようなBtoB版のペルソナを設定し、見込み企業のICPとなる人物に対してデプスインタビュー(インタビュアーと対象者の1対1のインタビュー形式で行う定性調査手法)を行うなど、自社と顧客企業の「直接接点」を構築、強化することが新規事業の開発に不可欠な相互認知の構築、強化を実現するための強力な手段となります。
