「界隈」の民主化、認知率は8割以上
はじめに、近年インターネットやSNSで使われるようになった意味合いでの「界隈」という言葉の認知率などを見てみましょう(図表1)。
調査結果では、男性20代を除いてどの性年代でも「『界隈』という言葉を聞いたことがある」=認知率は8割を超えており、「意味を知っている」=理解率も7割前後と、「界隈」という言葉が大衆化していることがわかります。
一方で、「日常生活で実際に『界隈』という言葉を使っている」=使用率は性年代により大きくばらつきがあり、特に10代が圧倒的に高く、また20代と30代の間、女性だと30代と40代の間にも大きな差があることがわかります。これは「界隈」への所属意識と関連しています。
「自分が“所属している”と思う『界隈』がある人の割合」を見てみると、「界隈」使用率同様、20代と30代の間、加えて女性だと30代と40代の間に大きな差があります(図表2)。
20代と30代の間の溝に関しては、いわゆるZ世代か否かでSNS上のコミュニティとの距離感の感じ方に差があるようです。女性40代に関しては、家事や育児などに関連する身の回りのコミュニティが活発でSNS上での交流より実生活での交流を重視する傾向があるのではないかと考えられます。
性年代別で「自分が“所属している”と思う『界隈』」のランキングTOP5を見てみましょう(図表3)。
全体で見るとTOP3は「漫画・アニメ(11.7%)」「旅行(8.6%)」「ゲーム(ソーシャルゲーム・eスポーツなど)(7.6%)」で、「音楽(K-POP・クラシック・ボーカロイドなど)・楽器(6.9%)」が続きます。
特に1位の「漫画・アニメ」は60代を除いてどの性年代でもTOP2以上であることから、幅広いデモグラをカバーした「界隈」であることがわかります。一方で、2位の「旅行」は男女とも年以上を使う人々も少数ながら確認できます。大きな金額を消費する人だけではないですが、10~20代の若年層での結果であることを考えると、「界隈消費」という市場は一定の規模を持っていることが読み取れます。
「後編」に続きます!
本稿で「界隈」および「界隈消費」の広がりをご紹介しました。後編では界隈が抱える課題をお伝えするとともに、「界隈」発想のマーケティングプロセスをご紹介します。公開は7月3日午前9時30分です。お楽しみに!後編の記事を読む
