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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Autumn

Adjustと追うアプリマーケティング最前線(AD)

アプリ起動率170%アップ!ABEMAがAdjustのディープリンク「TrueLink」を選んだワケ

 2025年8月、Googleが提供するディープリンク機能「Firebase Dynamic Links」がサービスを終了した。ABEMAでは、Adjustが提供する「TrueLink」へと移行を完了させ、より深い改善・分析環境を整えることで数値面での改善や、ユーザー体験の向上などを実現しているという。本稿ではABEMA担当者への取材を通し、アプリマーケティングにおけるディープリンク活用の重要性、また「TrueLink」導入により得られる具体的な効果について探っていく。

開局10周年に向けて ABEMAにおけるアプリの重要性

──まずは改めて「ABEMA」のサービス概要と、アプリをどのようなチャネルとして捉えているのか教えてください。

有重(ABEMA):「ABEMA」は2016年に開局し、テレビのイノベーションを目指し「新しい未来のテレビ」として展開する動画配信事業です。登録不要で、無料で多くのコンテンツをお楽しみいただくことができます。

 24時間編成のチャンネルを軸に、ニュースからオリジナルのドラマ、恋愛リアリティーショー、アニメ、スポーツまで、多様なジャンルの番組コンテンツを視聴いただけます。また、オリジナルのコンテンツはクオリティにこだわり制作しており、シリーズ化する番組や賞を受賞する番組なども年々増えてきています。

 そうした中、ユーザーに快適な視聴体験を提供できるアプリは、回遊率も高いため非常に重要なチャネルと捉えています。開発・データ・マーケティングの各部門が一丸となって、アプリユーザーをいかに増やし良質な体験を提供していくか?という点は注力しています。

画像を説明するテキストなくても可
株式会社サイバーエージェント 宣伝本部 アドストラテジー局 局長 有重 文平氏

アプリの成長において「ディープリンク」活用は必須

──ABEMAでは2025年4月より、Adjustが提供するディープリンクソリューション「TrueLink」を導入したとうかがいました。背景には、どのような課題感や狙いがあったのでしょうか?

中澤(ABEMA):Googleが提供するディープリンク機能「Firebase Dynamic Links」が廃止されることにともない、代替ソリューションを探していました。

 これまで「Firebase Dynamic Links」は、モバイルブラウザからアプリへの導線と、各番組のSNSシェア機能において活用していました。ユーザーが求めている情報をより素早く届けることが、アプリビジネスを成長させるうえで必須の課題です。体験を途切れさせることなく視聴体験を担保するという点において、ディープリンクの活用は不可欠であるため、代替ソリューションの導入は必須でした。

株式会社サイバーエージェント 宣伝本部 アドストラテジー局 マネージャー 中澤 直哉氏
株式会社サイバーエージェント 宣伝本部 アドストラテジー局 マネージャー 中澤 直哉氏

中澤(ABEMA):その中で、代替ソリューションとして「TrueLink」を選んだ理由は、トラッキング環境を統一したいと考えていたためです。

 元々ABEMAでは外部アプリ広告の計測を目的に「Adjust」を活用しておりましたが、ブラウザの計測は「Firebase Dynamic Links」、SNSの計測は他ソリューション……といった形で、各タッチポイントで使っている計測ツールがバラバラでした。トラッキング環境を統一することで分析効率を高め、施策改善のスピードを高めていきたいと考えました。

有重(ABEMA):Adjustは開局して間もないころから活用していたため、社内に知見があったことも大きいです。他にもデータトラッキングのカバレッジの広さや、ディープリンクという複雑な技術において、多くのアプリサービスでその挙動を担保できる点も魅力でした。

Adjustのディープリンクソリューション「TrueLink」について詳細を知りたい方はこちらからご確認ください。

「TrueLink」サービスサイト

ユーザー体験を最適化し、エンゲージメントを高める「TrueLink」の強み

──ここで、Adjustの「TrueLink」について教えてください。どのようなソリューションで、導入することで、具体的に何が可能になるのでしょうか?

大杉(Adjust):ディープリンクソリューション「TrueLink」は、アプリマーケティングにおけるユーザー体験を改善し、エンゲージメントを高める機能を提供しています。

adjust株式会社 Head of Customer Success 大杉 健治氏
adjust株式会社 Head of Customer Success 大杉 健治氏

大杉(Adjust):主な特徴は3点あります。1点目は、クロスプラットフォーム対応です。iOSとAndroidの両方に対応しており、ユーザーがどのデバイスや環境からアクセスしても、最適な遷移先に自動で誘導します。また、1つのリンクでオンオフ問わず複数のプラットフォームやチャネルをカバーできるため、あらゆる環境に対応可能です。マーケティング担当者の運用負荷の削減にもつながるでしょう。

 2点目は、ブランド力と信頼性の強化です。計測リンクは、お客様のサービスブランドドメインに変更可能です。短縮URLという形式により、ブランドイメージや信頼性の向上、クリック率やエンゲージメントの向上につながります。さらに、API機能も提供しており、従来は手動で発行していた計測リンクを自動で発行することができます。お客様のサービスブランドドメインを使用した短縮リンクの自動生成も可能です。

 3点目は、ユーザー体験の最適化です。アプリをまだインストールしていないユーザーと既にインストール済みのユーザーそれぞれの状況に応じて、体験を途切れさせることなく、最適なコンテンツやページへ誘導することができます。

「Firebase Dynamic Link」→「TrueLink」へ。迅速な切り替えをいかに実現したか?

──どのように「Firebase Dynamic Link」から「TrueLink」へ切り替えを行っていったのでしょうか。

東濃(Adjust):まず「ABEMA」がどのようなユーザーエクスペリエンスを求めているかについてしっかりとヒアリングしたうえで、「TrueLink」の仕様に当てはめ、現時点で可能なことと、できないことを整理しました。その後、ドイツのプロダクトチームに「日本のお客様はこのようなことを求めている」「ABEMAはこういったサービスで、このように使いたいため、こう対応してほしい」といった詳細な要件定義を伝えました。

 このようにABEMAの皆様と当社ドイツのチームと密な連携をとれたことで、昨年12月からスタートして今年4月には完了と、スムーズな実装とテストにつなげられたと思っています。その後のステップでも、ABEMAの皆様からの詳細なフィードバックにより、システムの品質を向上させることができました。

adjust株式会社 EXPERT,SOLUTION CONSULTING 東濃 衛氏
adjust株式会社 EXPERT,SOLUTION CONSULTING 東濃 衛氏

有重(ABEMA):これまで当社では「Firebase Dynamic Links」を中心とした開発体制が構築されていたため、Adjustについてはマーケティングチーム以外の理解が不足していたのですが、Adjustチームから手厚いサポートを受け、グローバルチームを含めた連携によりスムーズな開発が実現しました。

 また、データトラッキングの最適化についても、Adjustチームからの助言をいただきつつ、ABEMAのデータサイエンティストとマーケが連携して解決を図りました。

 そして、冒頭に申し上げたトラッキング環境の統一化を進めるうえで壁となった社内オペレーションの構築に関しても、Adjustが提供するAPIを活用し、管理画面から簡易的にURLを生成できる機能を共同開発することで解決しました。

FirebaseからAdjustのTrueLinkへの移行手順についてはこちらのブログをご参照ください!

たった3ステップで完了!FirebaseからAdjustへのディープリンク移行ガイド

アプリ起動率170%増!「TrueLink」導入の成果

──「TrueLink」導入により得られた成果や、気づきなどがあればお聞かせください。

中澤(ABEMA):データトラッキングとアプリの流入効率という2点において、成果が出ています。まずデータトラッキングでは、これまでトラッキングできなかった領域を可視化できる環境を構築できました。そのため、リソース投下の選択肢が大幅に拡大したと思います。

 後者のアプリ流入効率については、Adjustのディープリンク対応のカバレッジが広範囲に及ぶという特徴を活かせています。ABEMAでは様々なメディア企業との協力によりプロモーション活動を展開していますが、各経路におけるディープリンクの体験を大幅に向上させることができました。従来はブラウザを経由していた導線から、ブラウザを介さない直接的なアプリ間の流入を確保できるようになったことが、特に大きな成果だと思います。ユーザーの皆様がブラウザサービスで留まることなく、確実にアプリをご利用いただける環境を実現できた点は、重要な改善でした。

有重(ABEMA):無料サービスによって間口を広げ、多くの方々にご利用いただくという戦略の中で、ブラウザよりもリッチな視聴体験を提供できるアプリをご利用いただくことで、ABEMAの魅力をより深く理解いただけると思います。今回、シームレスにアプリまでの導線を構築できたことは、大きな成果といえるでしょう。

 実際にアプリ起動率につきましても、導入初期の数値ではありますが外部経路からのアプリ起動効率が170%アップと、事業インパクトを明確に認識できるレベルで各流入経路において向上しており、定量面においても大幅な成果を確認できています。お伝えしたとおり、アプリ戦略は社内でも重要なプロジェクトであるため、成果は社内でも注目され、表彰されました。

画像を説明するテキストなくても可

AI搭載ツールでアプリビジネスのさらなる成長を支援

──最後に、今後の展望をお聞かせください。

中澤(ABEMA):私からは3点お伝えします。1点目は、カバレッジの拡大です。「TrueLink」導入によりカバレッジは広範囲に及んでおりますが、まだ対応できていないメディアも存在するため、Adjustで適用可能なチャネルを拡大していくことで、流入数およびユーザー数のさらなる増加を実現したいと考えています。

 2点目は、データトラッキングの活用についてです。従来よりも広範囲でユーザージャーニーを追跡できる環境が整ったことで、様々なマーケティングチャレンジが実行しやすくなったと思います。従来トラッキングが困難であった経路への投資チャレンジを、マーケティング部門として積極的に進めていきたいです。

 最後は、2点目とは逆のアプローチとなりますが、データトラッキングが可能な環境を構築する一方で、一人ひとりのユーザーのジャーニーの多様化が進み、追跡不可能な領域に達していると感じています。そのため、トラッキングとは別のアプローチとして、マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)を活用し、トラッキングに依存しないモデルベースでのマーケティング評価手法も導入したいと考えています。

有重(ABEMA):中澤から指摘があったトラッキング機能は、今後に向けて特にチャレンジしがいのあるポイントであると思います。従来のラストクリック評価や限定的な一般的評価手法から脱却し、マルチタッチアトリビューションによってより複雑なユーザー行動を理解し、今後の投資判断に活用していきたいです。

 また、オーガニック経路についてもAdjust導入により、人的リソースの配置を含めて、より適切な評価と配置を実現することが可能になります。この点は今後に向けた重要なポイントであると考えております。

 10周年という節目のタイミングにおいて、競合他社に対する優位性を確立し、独自性のあるマーケティングを実現するうえでの重要な要素であると位置づけており、全力で取り組んでいきたいです。

東濃(Adjust):これほど大規模なディープリンク移行プロジェクトは、グローバル全体においても初めての取り組みでした。ABEMAからいただいた意見を機能に反映させることで、「TrueLink」の機能そのものを大幅にアップグレードすることができたと思います。ABEMAの皆様には心より感謝申し上げます。

大杉(Adjust):今後も引き続き「FireBase Dynamic Links」終了にともなう「TrueLink」への切り替え支援を行っていきたいです。中長期的な展望としては「TrueLink」を活用して計測カバレッジが拡大したお客様の管理画面で、多様なマーケティング施策の分析ができる環境を整備し、運用最適化の面でも支援していきたいと考えています。

 5月には、よりスマートで迅速なアプリ成長を支援するAI搭載ツール「Growth Copilot」のベータ版を発表しました。生成AIを活用しており、管理画面でたとえば「過去7日間のクリック数をリンク別に表示してほしい」や「ROASの目標に近づいているキャンペーンを教えてほしい」といった質問を入力すると、システムがデータを分析して即座に明確な回答やグラフを表示します。マーケターの方々の効率と生産性を高め、アプリビジネスの成長をサポートしていきたいと思います。

AI搭載ツール「Growth Copilot」についての詳細はこちらからご確認ください。

「Growth Copilot」サービスサイト

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高山 透(コウヤマ トオル)

フリーカメラマン。雑誌の撮影などを主にしています。

最近では、webの撮影も多くなってきました。日々の生活は、朝タブレット端末をながめながらコーヒーを飲み、のんびり1日が始まります。 休みの日は、新宿御苑に行ったり、子供と遊んで過ごしています。

webサイト

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提供:adjust株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49230