現在はターゲットを拡張し、マスブランドを目指すフェーズに
MarkeZine:2022年にアース製薬がBARTHを買収し、2023年3月からはアース製薬の事業部として運営されています。このあたりからブランドの拡張、リブランディングに着手されたそうですが、どのような方向性でリブランディングを進められましたか?
坪井:アース製薬に移り、改めて感じたのは、やはりBARTH=入浴剤のイメージが強いということでした。当初から掲げていた「ナイトルーティンを提案するブランド」を目指すべく、より広い時間軸でメッセージを発信していこうと、ブランドの見せ方やメッセージングを変えるリブランディングを行いました。
小野里:以前とはブランドのフェーズも変わっています。BARTHは一部の層にはしっかり認知していただいていますが、トータルの認知度で見るとまだ伸びしろがあると捉えています。現在はターゲットを拡張し、ブランドの認知度を高め、BARTHをもう一回り大きくしていくフェーズにあります。
また、消費者側のニーズも変化しています。“投資する”ヘルスケアだけでなく、最近は「ご自愛」という言葉に代表されるように、もう少し自分に寄り添った等身大のケアも求められていると感じています。
MarkeZine:ターゲットの拡大にともない、コミュニケーション施策のクリエイティブも意識高めのものから、よりマス層を意識したトーンに変えられてきたんですね。
小野里:はい、2024年にお笑い芸人の見取り図を起用して実施したX上のキャンペーン「寝相三十六形」などは、まさにその例です。当初の「意識高い層向け」から少しずらしたコミュニケーションを試みている最中です。
MarkeZine:マス層にリーチしていくにあたり、投資するメディアにはどのような変化がありますか?
小野里:基本はSNSですが、直近で投資しているのはTVerです。テレビCMの予算を確保するのは難しいですが、TVerであればある程度ターゲットを絞って広告を配信し、しっかり動画を見てもらうこともできます。SNSキャンペーンでリーチを獲りつつ、TVerでしっかり内容を理解してもらう、という流れを作っています。
SNSだけでは、BARTHが伝えたい「ナイトルーティン」というコンセプトや、そのコンテキストがわかりにくい部分があります。TVerのような動画媒体であれば、雰囲気やイメージを感じてもらえるので、使いやすいですね。
坪井:また、キャンペーンを行う際は、店頭のPOPと連動させるようにしています。ドラッグストアではどうしてもスペースが限られますが、商品特徴だけでなく、イメージや雰囲気などから情緒的な価値も伝えるよう意識しています。
競争が激化する入浴剤市場、パイオニアとしてのポジションを維持し、さらなる成長を
MarkeZine:最後に、BARTHの今後の展望についてお聞かせください。
坪井:この8月に新商品の発売を控えているので、その成功が直近の目標です。これまでのBARTHは、重炭酸をより深く知っていただけるように無香料・無着色を貫いてきました。そこから状況が変わり、重炭酸の認知が上がってきた今だからこそ、入浴剤に香りを求めるニーズにも応えていきたく、BARTHらしい洗練されたやさしいラベンダーの香りをつけました。新しい層を取りにいくにあたって、“香り”という要素を取り入れるのは、かなり大きな決断でした。
小野里:入浴剤の市場は競争がますます激しくなっており、中でも高価格帯の製品が増えています。重炭酸入浴剤のカテゴリーにも様々なブランドが参入してきている中で、パイオニアとしてのポジションをキープするためにも、ラインナップを拡充し、より広いターゲットにリーチする戦い方をしつつ、周辺領域を広げていきたいと考えています。
また、ギフト需要も高まっており、ECでのギフト需要の構成比も上がってきています。ギフトセットで「こういう組み合わせで使うと良いよ」という提案をし、他のシリーズへの接触を増やしていきたいですね。

坪井:BARTHが最終的に目指すゴールは「なりたいジブンは、夜につくる。」という言葉に集約されます。ナイトルーティンを起点に、自分の本来の姿になって、心も体もより充実した生活を送っていただきたい。そのための「プラスワン」として寄り添えるブランドを目指していきたいです。
