AIチャットインタビュー:短時間で数千人規模のデータを収集
「AIチャットインタビュー」は、AIがモデレーターを担い、チャット形式でリアルタイムにインタビューを行うシステムだ。時間・場所の制限がないため、短時間で数百人〜数千人規模の定性データを収集できる。楽天インサイトの「AIチャットインタビュー」には、以下の3つの特徴がある。
1. 業界のリーダーとしての実績:2024年10月末にいち早くローンチされたサービスで、楽天グループの約220万人の高品質なパネルを有する
2. リサーチャー×エンジニアのアジャイル開発:定性調査に強いリサーチャーと楽天インサイトのエンジニアが連携し、ユーザーニーズに応じたスピーディな機能改善を行っている
3. 独自のハルシネーション防止策:インタビュー終盤に回答内容をサマリーとしてまとめ、ユーザーが最終確認する独自プロセスを搭載することで、AIのハルシネーションを防止する(特許出願中)
「AIチャットインタビュー」では、「育休パパ」経験者である308名のサンプルから、1人につき平均68回のラリーでインタビューを実施した。注目すべきは、「対人のインタビューでは得られにくい率直な表現が見られたこと」だと伊藤氏は語る。

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「たとえば、『妻にバレないよう有給を使ってギャンブルをすること』『クズな人間だなと思う。妻にバレたら離婚になるし』といった、リアルな意識と本音が散見されました。AIだからこそ引き出せる意見があるのです」(伊藤氏)
息抜き時間の過ごし方10区分と4象限
収集した膨大な定性意見は、AIが類型化と量的評価を行う。今回の調査では、息抜き時間の過ごし方を以下の10区分に類型化した。

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さらに、これらの10区分を「自分のため/家族のため」と「自宅/自宅外」の軸で4象限にマッピングした。

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これらの分析の結果、息抜き方法は、4象限の左上にある「隙間時間セルフリチャージ(自分のため・自宅)」に集中していることがわかった。また、興味深いことに、「自分のための時間」と回答しながらも「家族のため」に該当する人が、約3割いることが明らかになった。
「『隙間時間セルフリチャージ(自分のため・自宅)』と回答した人でも、個別のコメントでは『酔っていると育児対応に影響が出るため、ノンアルコールビールを飲む』と回答していました。4象限における“家族のため”を意識していることがうかがえます」(伊藤氏)