230万通りのバナーの出し分けを実施
──お話をうかがっていると、イオンリテールが保有する豊富なデータとBrazeの強いシナジーを感じます。
田中:当社が保有しているデータは、年代で言うと乳幼児からシニアまで、さらにジャンルで言うと衣食住からヘルスケアまで多岐に亘ります。日用品だけでなく、ライフステージの変化によって購買が発生する商品もカバーしているため、データのボリュームは膨大です。そのように豊富なデータを適切なタイミングで1to1コミュニケーションに活かしたかったからBrazeを選びました。
Brazeさんは先進的な技術を常に取り入れながら、プロダクトをアップデートし続けている印象です。ご一緒していて学びが多いですし、難易度が高いオーダーに対応してくださる点が素晴らしいと感じます。
──消費サイクルリマインドはPoC段階とのことですが、AI活用パーソナライズの進捗はいかがでしょうか?
田中:バナーの並び替えをパーソラナイズした結果、230万通りのバナーの出し分けをすることになりました。11月下旬には、より大規模なPoCを行う予定です。また、クーポンの1to1実験も実施しました。700万通りのレコメンドが可能であることがわかっています。イオンお買物アプリのリテールメディアとしての価値を上げるためにも、単にバナーを配信するだけでなく「そのバナーが好意度や新しい発見にどうつながったのか」を追求することが大事だと考えています。
顧客一人ひとりの「反応しやすい送信時間」を計算
──Brazeを活用した施策で、既に効果が出ているものはありますか?
紺野:Brazeの「インテリジェントタイミング」という機能を活用した施策では、ポジティブな結果が出ています。インテリジェントタイミングとは、過去のユーザーごとのデータを自動的に分析してメッセージの最適な送信時間を計算する機能です。
田中:「●曜日の●時」のように画一的な時間で配信するよりも、インテリジェントタイミングを使って各お客様の反応しそうな時間にメッセージを配信したほうが、クリックしてもらえる確率は高いことがわかっています。
たとえばほっと一息つきたいときに「あれは買いましたか?」「こんなセールがありますよ」と言われても心地良さは感じられませんよね。このように、広告の配信方法を少しずつ改善しているところです。
──最後に、田中さんの展望をお聞かせください。
田中:AIなどのテクノロジーも活用しながら、お客様のロイヤルティを向上するために必要な施策を考え、PDCAを高速に回していきたいです。一つひとつの施策の積み重ねが結果につながると感じています。Brazeさんのようなパートナーのお力を借りながら、イオンリテールはマーケティングの会社へと進化を続ける考えです。
また、お客様のロイヤリティを高めるパーソラナイズの取り組みは、現在取り組んでいるリテールメディアの高度化にも活用しています。単なる広告だけではない、お客様に新たな価値や気づきをご提供できるよう注力していきたいです。
──田中さんの展望を受けて、紺野さんはどのようなサポートができそうですか?
紺野:Brazeは機能をどんどん拡張しています。AIエージェントが使えるようになると、新機能の実装が楽になり、PDCAもより高速に回せるようになるはずです。加えて、人の手による支援も引き続き大事にしたいと考えています。現在進めている大学との共同研究で得た知見や、Brazeに閉じないテクノロジーに関する知見をフル活用して、プロアクティブなご提案を差し上げることで、イオンリテール様の1to1コミュニケーションの高度化に貢献したいです。


