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MarkeZine Day 2026 Spring

デジタルで広がる、オフライン広告の可能性

2025年下半期に話題になったOOH15選!「BMSG」から「無限城」まで、SNSで話題化する法則

「イベント化」することで話題化

 主要駅の超一等地で勝負するのではなく、小さい面でも数と範囲をそろえて一気に展開することで、街全体を使った大きな催しとして盛り上がっている事例が目立ちます。

 たとえば9月に渋谷エリアで実施された、音楽事務所「BMSG」の設立5周年プロモーション「BMSG STREET GALLERY」には驚かされました。

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出典:BMSG 5年間の軌跡を渋谷全域で展示する、都市ジャック型展示企画「BMSG STREET GALLERY」が開幕!初日の様子をお届け

 映像・写真・実物展示を通じて歩みを振り返るゾーン、渋谷のストリート全体を使って歴史を時系列でたどれるエリア、才能をテーマにした展示、巨大ビジュアルなど、それぞれに異なるアプローチでBMSGの世界観を体感できる仕掛けに。

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 ポスターはフラッシュ撮影すると、アーティストのポートレートが浮かび上がってくる仕様で、場所ごとに内容も異なることから、期間中は多くのファンが街を練り歩く様子がうかがえました。 Xで「#BMSG_StreetGallery」を検索すると関連投稿が数多く出てきます。

 一般販売されている広告枠を活用していますが、イベントの一部に組み込むことで「広告」と意識させない、体験型プロモーションとなっていました

 12月に見られた映画『ズートピア2』の広告も、BMSG同様街全体を活かした興味深い事例でした。

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 「ようこそ!ズートピア渋谷へ。」と渋谷の街をまるっとイベント会場に。「ズートピア渋谷MAP」にある通り、各地点で展開された広告が1つのチェックポイントのような役割で展開されており、広告に遭遇すること自体をエンターテインメント化していました。

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 OOHの活用法次第で、「渋谷」という街で「街ぐるみなイベント感」が出せる点は興味深いです。

 8月に都内100駅展開された「ちいかわパーク」の広告も見逃せません。

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 「ちいかわパーク」のオープンを記念し、都内100駅で異なるデザインのポスターを展開。SNSを始め、個人ブログやYouTube動画で「全制覇」をシェアする方が現れたり、自分の生活圏で遭遇したポスターをシェアする方がいたりと、移動のついでに探したくなる企画となっていました。

 今回使われていたポスターはB1サイズですが、通常、「数万円/1週間」で展開が可能です。今回の規模感でも、大ターミナル1ヵ所で展開する料金とほぼ同じ規模感ではないかと想定されます。「特定の場所にこだわる」だけでなく「複数箇所で同時展開する」という選択肢も持っておくと企画の幅が広がるかもしれません。

こう来たか!を呼び込む「切り口ズラし」で話題化

 「食品」なら味や価格、「健康食品」なら成分や効能、「観光」なら特産や景色……といった具合に、カテゴリーごとに王道の訴求軸があります。その切り口をあえてズラし、誰も思いつかなかった視点を持ち込むことで、予想外の反響が生まれることも。

 たとえば、11月に鶴ヶ島市が池袋駅で展開した広告は印象に残っています。

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 特徴的なのが「安全性を地図の色で可視化」したこと。居住地選びの基準を街の魅力(特産や観光スポットなど)や金銭面でなく「ハザードマップ」という切り口で示し、その中で鶴ヶ島市の白さ=安全性を強調していました。

 OOHらしいビジュアル活用で、特に都市圏で災害リスク意識が高まる中、居住地選びの新しい軸として発見のあった事例でした。

 11月に実施された「明治R-1」の広告も見逃せません。明治のスナック菓子「カール」のキャラクターとして知られる「カールおじさん」……かと思いきや、カールではなく「アール」おじさんが登場。

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 「カール」は平成29年に全国販売を終了し、現在は関西以西のみで販売されているため、東日本では「カールおじさん」を見かける機会がほぼなくなっていました。

 今回登場した「アールおじさん」は、その姿を飲料R-1仕様に刷新。確かに同じ「明治」という会社ですが、まさか再び東日本(東京)でこのビジュアルを目にすることになるとは…そんな驚きがあった事例です。

 10月に展開された、マクドナルドときぬた歯科のコラボ広告も印象に残っています。

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 都内でお住まいの方なら見覚えのある顔写真……でもよく見てみると「マクドナルド」の広告に。「マクドナルド」と「歯医者」という、予測不能な切り口には驚きました。

 都内数箇所で展開されたコラボ広告ですが、元々「きぬた歯科」が使っていた看板を活用する形で展開されていた点が特徴的でした。

 元々使っていた枠を使うことで、「そこには、きぬた歯科の広告がある」と認識している消費者が「広告が変わっている」と認識、その発信が熱源となって広がっていく……といった動きが見られた点は印象的でした。

 「切り口ズラし」は関心を引ければ強い武器になる一方、外れればまったく箸にも棒にもかからないケースも。このギリギリのラインを攻められるかが、腕の見せ所とも言えそうです。

渋谷で感じた“ある”変化

 最後に、私が感じた「変化」についてシェアさせてください。 下画像は、渋谷エリア一等地にある媒体で、JCBの訪日観光客向け広告です。よく見ていただくと、すべて英語であることにお気づきいただけると思います。

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 2025年度はこのような「訪日外国人」の方をターゲットにしたOOHを見るようになりました。2024年は特に記憶にないので、ここ最近の動きなのかなと感じます。

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交通銀行(左)、食べログ(右)
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 渋谷は時間帯によって国内・海外の方の割合が逆転しているのではないかと思うくらい、ここ数年訪日外国人が多い印象があります。ターゲットが誰かにもよりますが、場所によってはクリエイティブ戦略も考え直す必要が出てきそうですね。

 私自身、オフライン領域専門で企業のマーケティング活動に携わり、広告巡礼で数多くのOOHを観察し続けています。もしよろしければ、1度ランチで情報交換しませんか?お時間ございましたら、ぜひよろしくお願いいたします(日程調整はこちら

 末筆ながら、本記事が皆さまの参考になれば幸いです。2026年度もどのようなOOHと出会えるのか、楽しみです。

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この記事の著者

加藤 誠也(カトウ セイヤ)

株式会社ビズパ 執行役員
食品メーカーで営業職を経験後、2019年同社に入社。オフライン領域(OOH、紙広告、店舗メディア 等)に特化して企業のマーケティング活動を支援。「広告巡礼」が日課で、毎日事例をSNSで紹介しており、オフライン領域のプロとしてメディア出演や大学での講演も多数。詳細プロフィールはこちら

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/23 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50176

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