コスト半減!新サービスの会員データもスムーズに連携
──DataCurrentの支援について、特に「ここが助かった」「ありがたかった」と感じた点があれば教えてください。
稲垣:何もかもありがたかったですが、特筆すべきは人材のトレーニングにも力を割いていただけたことですね。事業貢献のためのデータ活用を実現するためには、データを活用する際の業務プロセスまで見直す必要があります。業務プロセスの見直しにあたっては「仕組み」「ガバナンス」「人」を三位一体で進化させる視点が不可欠です。
DataCurrentさんとは、この三位一体の視点を揃えることができました。その上で、優先度が下がりがちな人のトレーニングにもリソースを割いていただき、トレーニング体系を一緒に検討しました。当社の目標を踏まえて「まずはこういうメンバーのこういうスキルを高めることによって、成果を創出するキーパーソンになってもらおう」という設計図を描けたのはありがたかったです。
──新データ基盤の構築から約半年が経ちました。現時点で見えている成果や変化はありますか?
稲垣:クラウドのコストはほぼ半減しました。乱立していた複数のBIツールを一つに集約したことで、こちらのコストも4~5割ほど削減しています。
2025年度は新サービスをいくつか立ち上げたタイミングでもあったのですが、新サービスの会員データと既存サービスの会員データの連携もスムーズに実行できています。この点は非常に大きな成果です。
全社プロジェクトの旗振り役に求められる姿勢
──WOWOWにおけるプロジェクトの成功要因はどのような点にあったのでしょうか?
古田:稲垣さんが率いるデータマネジメント・ユニットの皆様が、強い責任感を持って推進されていたことが大きかったと思います。何せ全社のデータ基盤ですから、社内外のステークホルダーが多く、十数個のシステムと新データ基盤をつなぎ込む際は調整が大変でした。そんな中でも目的を見失わず、本質的な課題に目を向けていらっしゃったからこそ、プロジェクトがうまく運んだのだと思います。

古田:プロジェクトがうまくいかないケースでは、旗振り役を担う部門が自身の担当範囲を決めつけて、線引きしてしまうことがあります。しかし稲垣さんのチームでは、各部門の業務を理解するプロセスをしっかりと踏んでいらっしゃいました。全社プロジェクトをリードするお立場として、非常に理想的な姿勢を示されていたと思います。
──最後に、展望をお聞かせください。
稲垣:今年の6月に新データ基盤をリリースしてから、数多くの成果を生み出せているかというと、まだそこまでは至っていません。人材の育成には引き続き力を入れていきたいです。加えて、生成AIの活用も不可欠だと考えています。プロンプトを入力すれば、データの集計結果が出せたり、無秩序な数字から読み取れる示唆を要約できたり。そのようにして基盤を高度化し、データに苦手意識を感じる現場のメンバーにもファクトベースで業務に臨んでもらえる環境を整えたいです。
古田:伴走パートナーとして関わらせていただく以上、生成AIを含む最新の技術トレンドを常にキャッチアップし、クライアントに合った形で提供することが我々の使命だと考えています。今回構築したデータ基盤をWOWOW様が長く使えるものにするためには、ナレッジの蓄積が不可欠です。得られた成果や成功事例を全社に展開することで、特定の部門に閉じないデータ活用の推進をサポートしていきたいと思います。
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