「選ばれ続ける」ためのAI×ロイヤルティ──MarigoldとZeta Globalの統合が描く未来
イベント冒頭、チーターデジタル代表取締役社長の浅坂絵美氏が登壇し、開会の挨拶を行った。浅坂氏は、競争が激化し情報が溢れる現代において、消費者がブランドを選ぶ基準が変化していることに言及。「一度選ばれることよりも『選ばれ続けること』こそが、今後の企業の強みになると確信しています」と述べ、企業と顧客の長期的な関係構築の重要性を強調した。
続いて、チーターデジタルの米国本社であるMarigold(マリーゴールド) のChief Revenue Officer(当時)、Micki Howl氏が登壇し、同社のエンタープライズ部門が米国のZeta Global(NYSE: ZETA)と統合することを発表した。Zeta GlobalはAI主導のマーケティングプラットフォームとして急成長し、世界最大級の消費者IDデータベースを保有する企業だ。Howl氏は、「Zetaのミッションは、自動化を活用してすべての消費者が適切なタイミングで適切なメッセージを目にするようにし、体験をより適切で楽しいものにすることです」と述べ、この統合によりチーターデジタル(Marigold)のサービス群の機能がZetaのAI技術基盤によって強化されると強調した。
最後にHowl氏は、今後の展望として「AI-Powered Loyalty(AIを活用したロイヤルティ)」というビジョンを提示。「Zeta Globalのテクノロジーが、私たちがこれまで構築してきた技術と知見のすべての加速装置となります」と語り、AIとデータを活用することで、個々の顧客を深く理解し、よりパーソナルな体験を提供する方針を明らかにした。
三井住友カード×ポーラが語る、LTV最大化と「感情的価値」の正体
続くKeynote1では、「業界の異なる2社が考える、顧客ロイヤルティ戦略とは」をテーマに、三井住友カード 代表取締役 副社長執行役員 COOの佐々木丈也氏と、ポーラ 代表取締役社長の小林琢磨氏が対談。モデレーターはフリーアナウンサーの藤井貴彦氏が務め、経営視点から見たロイヤルティの本質に迫った。
株式会社ポーラ 代表取締役社長 小林 琢磨氏
フリーアナウンサー 藤井 貴彦氏
ポーラの小林氏は、「売上・利益=LTV(顧客生涯価値)」という大前提を掲げた。「コロナ禍でリアル店舗の売上が落ち込んだ際、安易にECでの新規獲得に走るのではなく、顧客構造を見直しました。既存のお客様のLTVは新規の数倍〜数十倍にもなります。チャネルの論理ではなく、顧客構造全体を見て、既存顧客のLTVを高めることに予算とリソースを集中させました」(小林氏)と語り、「短期的な数字を作るための新規獲得偏重から脱却し、既存顧客との関係深化こそが経営の安定に繋がる」と力強く述べた。
これに対し、三井住友カードの佐々木氏も深く頷く。同社にとっても顧客ロイヤルティは「一丁目一番地」の最重要課題であり、顧客との関係を数値化し経営層も理解することを重視しているという。佐々木氏はロイヤルティを構成する要素として、ポイント還元や利便性といった「実質的価値」に加え、「感情的価値」の重要性を強調した。
ポイントの有効期限のお知らせや手続きの簡潔な案内など、「我々が提供する価値そのものに対して『嬉しい』とか『教えてくれてありがとう』といったエモーショナルな反応を、どれだけ生み出していけるかが重要」(佐々木氏)と、顧客ロイヤルティ醸成における感情的価値の重要性が語られた。

