機能面だけでは差別化しきれない時代に、NURO 光が掲げる「感動体験」
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、NURO 光におけるマーケティングの現在地を教えてください。サービス開始から13年が経ち、ポジションやフェーズも変化しているのではないでしょうか?
渡邉:当時「世界最速インターネット」を掲げて2013年にローンチしたNURO 光は、現在160万回線を突破する規模に成長しています。一方で、「速さ」という機能面だけでは他社との差異化が図りにくくなってきたのも事実です。光回線業界で「最大10ギガ」のサービスが標準化されつつある今、プラスアルファの提供価値が求められるフェーズに入っています。
そのような中で、私たちならではの強みは、ソニーグループ企業全体がもつエンタメコンテンツです。通信を介して、その先にある「感動体験」を届けていくことこそが、当社がプラスアルファで提供できる価値と考え、マーケティングの柱に据えています。具体的には、「感動を止めるな。」というコピーを掲げ、ソニーグループ各社のIPアセットを活用しながら、マス向けのプロモーションやデジタルでのダイレクトマーケティングを幅広く展開しています。
NURO 光がスポーツ・サッカーファンダムに着目した理由
MZ:NURO 光は幅広い生活者が対象になるサービスですが、今回スポーツファンダムに着目したのはなぜでしょうか?
渡邉:「スポーツ」と「感動」は密接な関係にあり、「感動を止めるな。」というNURO ブランドのメッセージとも親和性が高いと考えたからです。スポーツは特に「ライブストリーミング」で視聴することが重視される傾向にあります。大事な場面で映像が途切れたり、ラグが発生したりすれば、大きなストレスになってしまいますよね。リアルタイムでの熱狂を生むためには、安定した高速インターネット回線が必要不可欠です。
ここに、私たち光回線インフラの提供価値があると考え、スポーツファンダムを攻略する方針を定めました。
MZ:その中でも今回サッカーファンダムにターゲットを絞ったのはなぜでしょう?
渡邉:理由は主に2つです。1つは、NURO 光がアプローチを広げたい属性と、サッカー視聴層の属性がマッチしていたから。もう1つは、FIFAワールドカップ2026(以下、W杯)を間近に控え、サッカーへの注目度が高まるタイミングだったからです。「W杯に向けて、最高の視聴環境を作っていく必要がある」という切り口で、W杯前にサッカーファンダムのインサイトを掴む訴求ができればと考えました。
MZ:その上で、なぜDAZNをパートナーに選ばれたのでしょうか?
渡邉:今回は、ライブストリーミングを楽しんでいる方・サッカーファンに広くダイレクトに接触できるプラットフォームでの展開を選びました。また、スポーツストリーミングプラットフォームの中でも圧倒的なコンテンツ量を誇るDAZNの力を借りれば、スポーツ好きの方々にNURO 光の伝えたいメッセージを最適な形で届けられるのではと期待しました。
「速さ」の象徴として前田大然選手を起用。ミドルファネルに響くオリジナルクリエイティブを制作
MZ:テレビCMをデジタル広告に流用する選択肢もありますが、今回NURO 光はDAZNオリジナルのクリエイティブを制作されました。配信のみならず、クリエイティブ制作からDAZNへ依頼した理由を教えてください。
渡邉:弊社でもテレビ向けのCMクリエイティブをデジタル配信に活用していますが、今回はミドルファネル向けの施策として設計しています。ターゲットであるサッカーファンに対し、具体的な商品理解を促すことで、ダイレクトマーケティングにつなげたいという新たな目的があり、オリジナルクリエイティブの制作に挑戦しました。
今回の施策で特に訴求したかったのは、NURO 光の強みである「速さ」です。広告を見たサッカーファンが「NURO 光=速い」と想起し、さらにそれが感動体験=サッカー観戦に必要なものであると感じ、検索行動や公式サイトでの申し込みのきっかけになるクリエイティブを求めていました。
MZ:なるほど。そのクリエイティブを制作するにあたり、前田大然選手を起用された理由はなんでしょうか?
DAZN・立川:前田選手は、サッカー日本代表における「速さ」の代名詞的な選手です。NURO 光の強みを伝える上で、最適な存在だと考えました。実施が確定する前の段階から、「前田選手に出演いただけたら最高ですよね!」と名前が挙がっていたくらいです。
ライトファンもコアファンも、心を掴むクリエイティブ設計
MZ:NURO 光の「速さ」を、前田選手起用のクリエイティブでどのように表現したのか教えてください。スピードが強みの選手であれば、実際に走ってもらうようなイメージでしょうか?
DAZN・片倉:シーズン中の前田選手に万が一のことがあってはならないため、全力疾走していただくような撮影は避けました。その代わり、前田選手の目線で走っているように見せるカメラ演出を取り入れ、最後に前田選手がゴールするシーンはあえてスローで見せています。実際の訴求とは「真逆」の表現ですが、カット切り替えの音など編集面もこだわり、疾走感が伝わるよう設計しました。
MZ:前田選手目線でカメラが動くシーンでは、いくつかのスタジアムや都市が映りますね。
DAZN・片倉:まさにここが、ファンの心を深く掴む仕掛けです。今回のクリエイティブは、前田選手が過去に所属してきたクラブにまつわる場所を巡っていく構成になっています。細かく説明せずとも、前田選手のファンの方にはそのストーリーが伝わるんですよね。“わかる人にはわかる”ような、コアファンの琴線に触れる要素を盛り込みました。
実際にファンからの言及も多く、「○○スタジアムが映っている!」などとSNS上でも盛り上がっていましたね。
MZ:ライトファンも動くW杯というタイミングを狙って「広さ」を確保しつつも、しっかりとコアファンに刺さる「深さ」も作ったのですね。この動画はDAZN内のどのような面で配信されたのでしょうか。
DAZN・立川:2つの枠を活用しました。1つは、Jリーグや欧州リーグでのハーフタイムCM枠です。ハーフタイムは視聴者が一息つくタイミング。そこにサッカーと無関係のCMではなく、“サッカー好きなら誰もが知っている前田選手の”CMが流れることで、離脱を防ぎ、強い関心を惹くことができると考えました。
2つ目は、DAZNならではの「モーメントブースター広告」です。DAZNのSNSでは、ゴールシーンなどの「熱狂」を短尺動画にまとめて発信しているのですが、その動画の前に3秒程度、CM内の前田選手によるゴールシーンを配信しました。

前田選手がCM内でボレーシュートを決めた後、実際の試合のゴールシーンが流れる構成となるため、違和感なくシームレスな視聴体験を提供することができています。
興味関心リフト170%、サーチリフト2倍増の成果が
MZ:配信の成果について教えてください。
DAZN・立川:いくつかの項目でリフト調査を行いました。まず、クリエイティブに対する興味関心は1.7倍増となっており、DAZN制作クリエイティブが着実な成果を発揮した結果に。また、サーチリフトは2倍増、あわせて実施したブランドリフト調査でも、広告非接触者と比較して接触者のほうがリフトする顕著な結果が表れています。
渡邉:また、DAZNのクリエイティブを二次利用したYouTube広告では、「NURO 光」の指名検索を効率的に生み出すことができています。当社はさまざまなCM素材を持っているため、「クリエイティブ×配信セグメント」で複数の組み合わせを同時並行で配信していますが、「前田選手クリエイティブ×サッカーファン」の組み合わせは特に効率よく指名検索を獲得できていますね。サイト流入後に一定のコンバージョンにつながっていると仮定すると、目標以上の成果数を獲得できている計算となります。

MZ:狭いターゲットではインプレッション単価が高騰してしまいそうなものですが、「狭く深く刺す作戦」が逆に功を奏したのですね。
渡邉:たしかに、インプレッション単価が高くなる傾向はありますが、深く刺さることで反応率が高くなり、効率が高まった形です。とはいえ反応を示したのはサッカーファンのみではありません。スポーツ好き、エンタメ好きなどリーチを広げてみた場合でもきちんと効果が見られました。YouTube広告も含めて、当初の狙い通り「W杯を楽しみにする幅広い層」にアプローチすることができていると思います。
スポーツイヤーの2026年。両社が見据える次のファンダムマーケティング
MZ:2026年はスポーツイベントが目白押しの年ですよね。DAZNはW杯全試合の配信も予定されていますが、広告業界での熱の高まりを感じていますか?
DAZN・片倉:ひしひしと感じています。「ここが勝負どころだ!」という強い思いを持たれている企業様が多いと感じますね。私たちはそれを実現するために、W杯シーズンを最後まで駆け抜けていきたいと思います。
MZ:NURO 光としては、今後スポーツ領域でどのような展開を考えていますか。
渡邉:今回手応えを得ることができたサッカーファンへのアプローチだけではなく、今後はスポーツ領域全体を攻略していきたいと考えています。
「回線が遅くなるとストレスになる」という悩みは全競技共通かもしれませんが、競技によって共感を生むクリエイティブや、接触できる媒体などは少しずつ異なってくるでしょう。今回のサッカーを皮切りに、各スポーツのファンダムを丁寧に捉えていきたいです。また、「感動」は必ずしもスポーツだけのものではありません。音楽などの他ジャンルでも一つひとつ攻略し、より多くのファンダムに感動体験を届けていきたいと考えています。
MZ:最後に、DAZNとしての今後の展望をお聞かせください。
DAZN・立川:全員が全員テレビを見るわけではない「好きなものを見る時代」において、存在感を発揮して選ばれる広告媒体になりたいと考えています。
2026年はW杯に集中しつつ、今後のさらなる世界的イベントを見据え、広告主様がメディアプランを組む上で、「無視できない」存在になることが私たちの目標です。その市場環境を作っていくために、今回のような効果実証を続けながら、広告主の皆さまの期待に応えられる媒体であることをしっかりと示していきます。
熱狂的なスポーツファンと深くコネクトしたい広告主様へ
DAZNには日々、様々なライブスポーツを楽しむ熱量が高いスポーツファンがユーザーとして多く存在します。視聴者同士が熱狂を共有し、リアルタイムで交流できるFanZoneなどを通じて、コンテンツ視聴を深い共感と参加の体験へシフトさせています。本記事でDAZNのユーザーやサービス特長、広告商品などにご興味を持たれた方は、DAZN広告公式サイトへお問い合わせください。

