ページビューは重要なのか
─ ネットメディアの価値をはかる指標としてページビューが重要視され続けています。田口さんのサイトもページビューを重視していますか。
ページビューをサイト運営の指標の一つとして使うことは正しいと思います。ただ、メディアで広告ビジネスをするならターゲット化されているかどうかをまずは考えないといけないかと思います。私自身も「新しいテクノロジーに興味のある人」「ブログを書いている人」にターゲットを絞ってはいますが、まだターゲット化という意味では十分ではないと感じています。広告ビジネスをメインにするつもりもないので急にブログのテーマを変えたりはしないですが、なんらかのターゲット化を先にしてからページビューを伸ばす工夫をしたほうがよいように感じています。
数字以上の価値はどうすれば生みだせるのか
─ 百式に数字では表せない価値があるとすれば、なぜその価値が備わったと思いますか。また、数字以上の価値をつけるために、意識していることはありますか。
どういうブランドというか、雰囲気があるか、ということでしたら、長年続けている点と、「新しいことをやっている感じ」を提供できていることではないでしょうか。開設以来、百式をずっと購読してくれている読者の方々が確実にいらっしゃるので、それは数字には表れない価値だと思います。また、リスクは多少ありながらも、企業とのタイアップ企画などにチャレンジし続けている姿勢も買っていただけていると思うので、それが結果的にブランドとしての価値に結びついていると思います。同じことをやらない傾向があるのでビジネスとしてはきわめて利益率が低いですけど(笑)。
自身のメディアで、何か情報を発信するときに意識していることは「いかに取り上げてもらうか」ですね。個人的に思うのは、そこが"日記"との違いだと思います。
情報発信の目的とは、他の人にとりあげてもらい、たくさんの意見が生まれ、それを読んだ人がより良い選択ができるようになる、というものだと思っています。そのためにもまず取り上げてもらうことが重要だと考えています。
─ 最後に、田口さん個人の活動で、今後チャレンジしていきたいことを聞かせてください。
「VALUE*VALUE」や「POP*POP」を始めた2006年当時は、実験的に幅広いジャンルで広めていこうとしていたのですが、最近は低コストで一人でもできる事業に絞っています。業界全体を見てもサイトの数がだいぶ増えてきました。他と差別化するために最近は求人広告や特定の効果が望めそうなタイアップ記事を取り入れています。
サイト運営はこれからも続けていきますが、今年はネットサービスの開発にも力をいれていきたいです。アメリカでのネットサービスを見ていると有料で使うWebアプリが増えています。日本でもそういう流れをつくっていきたいので、お金を払ってでも使いたいと思ってもらえるようなサービスを開発したいですね。
─ ありがとうございました。