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クチコミという不定形なメディアをマーケティングにどう活かすのか、ガイドライン策定の議論に手ごたえ

2009/03/20 21:30

WOMマーケティングのガイドライン策定に向けて

 「WOMマーケティング協議会」設立準備会が開催した研究会は今回で10回目。冒頭では、世話人である太田滋氏(ビルコム)、藤代裕之氏(NTTレゾナント)が、これまでの経緯と今後のプロセスについて説明。ガイドライン検討ワーキンググループの委員構成について、学識経験者として濱田逸郎氏(江戸川大学)、山口 浩氏(駒澤大学)が決定し、一般公募枠として発起賛同人登録者から2名が選出されるとの発表があった。

 しかし、ガイドラインの策定については、トップダウンで決めるつもりはない、とにかくワークショップでの議論にこだわりながら進めていきたいと語る藤代氏が参加者に質問を求めると、「クチコミとは何か」といった定義すらまとまっていない現状についての指摘や、議論も大事だが米国の「WOMMA(Word of Mouth Marketing Association)」の規定を日本に合わせて取り入れる方法もあるのではという厳しい意見が出た。

藤代氏の説明に聞き入る参加者。事前に意見を提出したうえで参加申込みをした人たちばかり

 これに対して藤代氏は、「民主主義はとにかく面倒」としながら、性急に決めようとしないことの重要性を強調。また、策定されたあとも、ガイドラインは常に更新されるべきものだと語った。

 ワークショップを始めるにあたって、徳力基彦氏(アジャイルメディア・ネットワーク)は、「(議論が)ゆるゆるしているのは私のせいでもある」と語り、「代理店主導でやっていると業界内で終わってしまう。自身も一ブロガーとして見ると、検索結果がスパムで汚されることなどへの懸念もあり、業界では区切れない。WOMMAの規定を持ってくる方法については否定しないが、それだけでは骨身にしみないし意味がない」と理解を求めた。

夜10時まで議論は続いた

 続いて会場では、参加者全員が4人一組で議論を行うワークショップへと移り、各テーブルで熱心な議論が始まった。テーマは、WOMマーケティングの課題について話し合い、3つのガイドラインを紙にまとめること。

 森永真弓氏(博報堂DYメディアパートナーズ)から、「ワークショップはディスカッションの場であり、ディベートの場ではない。人の話は最後まで聞くこと」どと事前に注意があったためか、図を描いたりしながら意見をまとめる作業が各テーブルで展開。終わったグループは用紙を提出して帰っていくのだが、9時を過ぎても大半のグループが残って議論を続けた。世話人の側も提出された用紙を見て早くも議論が始まり、広い会場のあちこちで熱心な議論が続いた。

 そして最後のグループが意見を提出したのは、夜10時。じっくり時間をかけて意見をまとめて帰る人たちの顔には笑顔が見られ、満足そうだったのが印象的だった。提出された成果物は、その日のうちに、WOMマーケティング協議会設立準備会の公式サイトですべて公開されている。

ガイドラインは常に更新される

 クチコミという古くて新しいメディアについてガイドラインを策定することの難しさは、容易に想像できる。何度も言及された米WOMMAの規定も、当初はシンプルだったものが、今年3月の改訂でより詳細なものへと変化している。そこには「人々が楽しく、関心を持ってくれることで口コミは生まれます」「ヤラセは口コミではありません」といった明解な言葉が並んでいる(※)。

 「企業がやることはみんなうさんくさいと思われるのは問題」と徳力氏が語るように、個々のネットユーザーが情報の担い手となるクチコミという不定形なメディアのパワーを、監視や排除による統制ではなく、今後どう活かしていくのかを考えるためにも、こうした規定は必要不可欠だ。そのための議論が、トップダウンや性急なものであってはならない、そして一度決まったガイドラインであっても、常に更新されるべきだとするワーキンググループの姿勢は、これまでのネット言論、ネットのコミュニティのあり方を考えればごく自然なものと理解することができる。

 今回の研究会で、一般の参加者が意見をやりとりする最後の場となる。今後は4月下旬にガイドラインの原案を策定、それをもとに5月下旬にヒアリングをしたうえで結果を報告し、6月下旬に最終討議を行い、ガイドラインの策定を目指す。10名の世話人含め、ワーキンググループの委員もすべて手弁当でこれらの活動をこなすことになるが、今回の議論からすでに大きな手ごたえを感じているようだ。

※藤代氏は協力者とともに、WOMMAの倫理規定の基本理念と行動指針を日本語に訳して公開しているので、ぜひ参照されたい。

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