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自動入札管理ツールに対する広告主のホンネ


 これまで3回にわけて自動入札管理ツールの現状や製品比較を紹介してきた。今回は、自動入札管理ツールのこれからに迫っていきたい。広告主は自動入札管理ツールに対してどのような評価を下しているのだろうか。

自動入札管理ツールの課題─費用負担は誰がすべきか

 自動入札管理ツールの販売方法としては、当初広告主に対してそのままの個別料金体系で直接販売する動向が多く見られた。

 これは、広告主が自動入札管理ツールを導入してリスティング広告の運用をすれば、投資効率が改善されて広告主にとってメリットが得られるという観点からの提案である。勿論この提案に対して理解を示した広告主はこれを受け入れて、一部で自動入札管理ツールの導入が進められた。

 一方で、「元々リスティング広告の運用は広告代理店に任せてあり、効率的な運用をしてもらうためにコミッションを支払っているのに、追加で自動入札管理ツールの料金負担をすることは理解できない」という広告主も存在する。自動入札管理ツールの普及が容易に進まない理由の1つだ。また、こちらの記事で解説しているように、自動入札管理ツールがもたらすメリットは、次の2つである。

  1. リスティング広告運用の効率化
  2. 投資効率の改善という

 自動入札管理ツールの導入は、広告主と広告代理店の双方にメリットがあると考えられるが、同時に料金負担の問題が発生することになる。もちろん、導入後に投資改善効果が得られればよいが、そこには一定の不確実性も伴うだろう。

それぞれの立場でさまざまな意見

 リスティング広告の運用を任せている広告主の立場からは、リスティング広告運用の効率化は広告代理店内部の問題である。また、投資効率の改善は、広告代理店が差別化して競争優位に立つための差別化の方法であるため、そのための手段である自動入札管理ツールに対してなぜ広告主が費用負担をしなければならないのかという考えがあってもおかしくはない。

 一方、広告代理店の立場からすると元々日本の市場では、リスティング広告取扱いにおいては概ね15%というコミッション利益率の枠内でこれまでサービスを提供してきた。

 現在ではリスティング広告代理事業は多くの事業者参入により競争が激化し、概ね15%という利益率は必ずしも保証されない状況にある。もしツールの代金を広告代理店が全て負担して運用をすると、もともと利益率が高くないリスティング広告代理事業の収益性の悪化を招くこととなり、それは容易にできることではない。

 また、広告業界に限らず、一般的に日本の代理店は細かいサービスをクライアントに対して提供するという文化的特色がある。

 自動入札管理ツールは、欧米のような広告代理店とクライアントの関係を前提に両社がWin-Winの関係となることを目的として日本でもサービスが展開された。しかし、欧米と日本のビジネス文化の違いを意識しないまま拡大していったことは否めない。そのため、広告主、広告代理店の間で自動入札ツールに対する認識のズレを生んだのだろう。

広告代理店と広告主の自動入札管理ツール費用負担の議論
広告代理店と広告主の自動入札管理ツール費用負担の議論

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この記事の著者

野下 智之(ノシタ トモユキ)

株式会社デジタルインファクト 代表 ExchangeWire.jp 編集長1983年設立の市場踏査会社、株式会社シード・プランニングの独立プロジェクトとして、2014年10月にデジタルインファクト(Digital InFact)を設立、2016年4月に法人化。デジタル領域を対象とする市場・サービス評価機関...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/06/01 17:31 https://markezine.jp/article/detail/7204

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