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「自動入札管理ツールは食器洗い機のようなもの」
ニーズはあるが本格的な普及に至らない現実

 これまで紹介してきた記事のまとめとして、今回は自動入札管理ツールの展望について述べていこう。日本の商習慣の問題などにより、なかなか市場が拡大傾向に向かわない現状を解説する。

自動入札管理ツール=食器洗い機

 自動入札管理ツールについて熟知している、ある有識者に自動入札管理ツールの普及状況についてヒアリングをした際に、その方から出た意外な言葉は、

「日本で自動入札管理ツールの普及がまだ一定の範囲内に留まっているのは、もしかすると日本では自動入札管理ツールはそれほど必要とされてないのかもしれない」

 というものだった。リスティング広告に対する需要が伸びる中で、なぜ自動入札管理ツールが必要とされていないのか。その有識者の意見は次のとおりだ。

「自動入札管理ツールとは、例えるならば自動食器洗い機のようなものであり、数多くのお皿(キーワード)を効率的に洗うためのものである。お皿が多いときには効果を発揮するが、お皿が少なければ手で洗ったほうが効率的だ。また、自動食器洗い機は、数多くのお皿を一度に洗うことができるが、その一方で多少の洗い残しが出ることもある。この場合取り出して1つ1つのお皿を手で磨き上げれば、時間がかかるがお皿はピカピカになるであろう。もしかすると、お皿の数を多く洗う必要のある人(広告主)が少ないから、自動食器洗い機はそれほど必要ないのかもしれない、あるいはお皿は多くても、それを洗う人が多くいるから必要ないというケースが多いから、必要ないのかもしれない。あるいはもしかしたらお皿を洗うことがそれほど必要とされていないのかもしれない」

 これは、日本における自動入札管理ツールの状況に対して、ある意味本質を突いたコメントであろう。また、他の有識者は次のように語る。

「現在市場には、多くのツールが存在するがツールはあくまでもツールである。また、どのツールにも一長一短があり、ある特定のツールを利用することでリスティング広告運用業務をリスティング広告運用が全て可能になるということはない。恐らく、リスティング広告を実際に運用する担当者が、いかに究極的に作業効率化をすることで、浮いた時間を、いかに人でしかできないクリエイティブな業務に割き、運用を最適化できるかということが自動入札管理ツールを利用することの本質である」

 また、先述の自動入札管理ツールを自動食器洗い機に例えた有識者は、次のような話も付け加えた。

「ただ最近の不景気の影響であろうか、広告主のリスティング広告運用におけるROIに対する見方がよりシビアになり自動入札管理ツールへの関心が高まりつつある感がある」

広告主が求めているのは投資効率の最適化

 本来広告主が求めているのはリスティング広告運用における投資効率の改善・最適化であり、自動入札管理ツールそのものではない。むしろ、投資効率が改善されるのであれば、自動入札管理ツールの利用の有無は関係ない。

 確かに、自動入札管理ツールはリスティング広告運用業務における一部の工程を行なうための手段として用いるツールであり、自動入札管理ツールを利用した運用をすることがそもそもの目的ではないはずである。

 また、実際にリスティング広告を運用する担当者がどのような立場で、どのような業務範囲を担当としているかというのはさまざまである。

 彼らにとって最も作業がしやすいツールはどれであるかという観点から見ると、「高機能であること=最適なツール」「最低限のスペックを装備している=最適なツール」「低価格であること=最適なツール」などさまざまな答えが予想できる。

 つまり当たりまえではあるが、担当者は最大限のパフォーマンスを出せるツールを求めており、それが事例として世の中に広がっていけば、自動入札管理ツールの普及は本格化していくのかもしれない。

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この記事の著者

野下 智之(ノシタ トモユキ)

株式会社デジタルインファクト 代表 ExchangeWire.jp 編集長1983年設立の市場踏査会社、株式会社シード・プランニングの独立プロジェクトとして、2014年10月にデジタルインファクト(Digital InFact)を設立、2016年4月に法人化。デジタル領域を対象とする市場・サービス評価機関...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2009/06/02 11:00 https://markezine.jp/article/detail/7229

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