AIにより、アイデアや選択肢を広げ、それらを小さく試すことも簡単にできるようになった。それなのに、「本当にこれで進めていいのか」という最後の判断が、なかなか下せない……。検証を重ねるほど、かえって判断が先送りになる罠から抜け出す鍵は、不安が残る中でも前に進める状態をつくることにあります。本連載では、積水ハウス イノコムCROの日ノ澤氏が、マーケターの直感を納得感ある戦略へと昇華させる「5Sフレームワーク」を解説。最終回となる第5回は、AIを壁打ち相手にしながら戦略仮説の妥当性・整合性を見極め、一本の戦略仮説へつなぎ直す「Settle(決断)」のステップを解説します。
AIが広げた案を、一本の戦略仮説へまとめる
AIを使えば、顧客の声の整理、競合分析、CEP候補の洗い出し、広告やWebサイト、店頭での訴求案の比較まで、これまでより速く進められるようになりました。自分だけでは思いつかなかった切り口や、見落としていた論点に気づけることもあります。
一方で、選択肢が増えるほど、迷う場面も増えます。どの案を採用するのか、どこまで確認できれば前に進むのか、何が見えたら見直すのか……。
たとえば最近、「PoCばかりが増えて、なかなか実行フェーズに移れない」「検証を重ねるほど、かえって判断が先送りされる」といった声を聞くことがあります。PoCが長引く背景には、検証内容そのものよりも、実は判断基準の曖昧さが課題である場合が多いです。
より簡単に小さな検証を重ねられるAI時代こそ、「誰に、何を、どう届けるか」という戦略のコアと、「どの条件なら前に進めるか」といった判断基準を決めることが重要になります。
Take Away:この記事で得られる3つのヒント
- 5SフレームワークにおけるSeeからSolidifyまでの材料を、一本の戦略仮説につなぐ視点
- 顧客・現場・事業の文脈から、実行時の摩擦を読む方法
- 市場成立性を見ながら、進める条件と見直す条件を決める考え
Seeで顧客の違和感を観察し、Structureで市場や競合の構造を読み、Selectで勝ちにいくCEPを絞り、Solidifyで接点ごとの具体案へ落とし込む。前回までに、直感を戦略仮説へ近づけるための材料を揃えてきました。
今回は最後のステップであるSettle(決断)です。ここまで積み上げた材料を見直し、実行に移してよい戦略仮説として整える。これが、5Sフレームワークの最後に置くSettle(決断)の役割です。

- See(観察):直感を適切な問いに変換する
- Structure(構造化):競合の戦略を解き明かし、市場を読む
- Select(選択):勝てる戦略を絞り込む
- Solidify(具体化):『この場面ならこのブランド』を実行可能な顧客接点へ落とし込む
- Settle(決断):市場で成立する「納得解」と進める条件を選ぶ(★今回)
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
新規会員登録無料のご案内
- ・全ての過去記事が閲覧できます
※プレミアム記事(有料)は除く - ・会員限定メルマガを受信できます
- ・翔泳社の本が買える!500円分のポイントをプレゼント
この記事は参考になりましたか?
- マーケターの「直感」を「論理的な戦略」に昇華する「5Sフレームワーク」連載記事一覧
-
- AIで広げた選択肢から「納得解」を選択する――5Sフレームワーク「Settle」の技術
- 選んだCEPでどう思い出され、選ばれやすい状態をつくるか?「Solidify(具体化)」の...
- CEPは「広さ」と「深さ」の使い分けが重要!勝てる戦略立案に不可欠な「選択(絞る)」の3ス...
- この記事の著者
-
日ノ澤 恵莉(ヒノサワ エリ)
積水ハウス イノベーション&コミュニケーション株式会社 CRO(Chief Research Officer)
Royal Holloway, University of London MBA修了。オリエンタルランドでテーマパークのマーケティング戦略・商品企画を担当後、ソフトバンクや大手損害保険会社...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
