多くのゲーム・アプリマーケターにとって、「アプリ内での詳細なユーザー行動データ」と「広告の流入経路データ」が紐付いていないという課題は、依然として深刻だ。自社でユーザー行動データを持ちながらも、流入経路との紐付けや真の投資対効果の算出に悩むマーケターは少なくない。ソーシャルゲームの企画・開発・運営を行うルーデルは、Adjustとともに、流入経路をユーザーIDレベルで紐付け、分析を可能にした。これにより、広告投資の議論や判断が変化しているという。詳細を取材した。
精緻なログ分析を阻む「流入経路」の壁
──ルーデルでは元々「アプリ内の詳細なユーザー行動ログ」をユーザーIDベースで精緻に分析されていたとうかがいました。具体的にどのような体制・方針でデータ活用をされていたのでしょうか?
吉永:ルーデルでは、AIとデータサイエンスの技術でビジネスへ貢献する部署としてデータサイエンス部があり、その中でゲーム事業におけるデータ基盤の構築と運用、BIダッシュボードによる分析データの可視化、課題に対する深掘り分析、機械学習による予測や分類モデルの実装などを行っております。
ソーシャルゲームのKPIはユーザー数・単価(ARPPU)・課金率の3つで構成されます。ユーザーIDベースの行動ログを分析し、この3つをゲームタイトルの特性に応じて最大限改善していくことを重視しています。
──データ活用に取り組む上での課題をお聞かせください。
吉永:「新規ユーザーがどこから流入してきたか、詳細が追跡できない」点に課題を感じていました。
弊社のソーシャルゲームはインストール無料で、プレイを継続していく中で追加でキャラクターやアイテムなどを購入したい場合に課金を行うビジネスモデルです。なので、インストール後にゲームに定着してもらえるかがとても重要なポイントです。もちろん、なるべく定着してもらえるようにゲーム内の改善は日々考えているものの、そもそもゲーム性と合わなかったり、他のサービスに重きを置いているユーザーなどは、一定仕方ない部分もあると考えています。
となると、弊社のゲームにマッチしているユーザーに効果的にアプローチすることも重要となってきますが、その分析がゲーム内のログだけでは完結しないため、新規ユーザーの流入元がわからない点が課題となっていました。
ゲーム内の行動ログであれば、自社サーバーで詳細にデータを取得することができるのですが、ゲームに入る前までのユーザーログは別でデータを取る仕組みが必要となります。
自社基盤とログをつなぐ「ローデータ」の価値
──ルーデルの課題解決をAdjustが支援したとうかがいました。どのように解決したのでしょうか。
大杉:まずAdjustの計測の流れから説明します。Adjustでは計測SDKを提供しており、このSDKをアプリに実装していただくのが最初のステップです。日本語のドキュメントの提供やテクニカルサポートチームによる導入支援をご提供しているため、基本的な実装であれば、テスト期間を含め約2〜3週間程度で実装を完了されているお客様もいらっしゃいます。
SDKを実装した後は、広告の効果測定において流入元を特定するために、Adjustの管理画面で計測URLを発行し、計測したい箇所に設置していただく形になります。
現在では、モバイルはもちろん、WebやCTV、さらに最近増えているQRコードといったオフライン計測にまで対応の幅を広げています。デジタルチャネルが多様化する中、様々な流入元から来るユーザーを、Adjustで一元管理・計測が可能です。
細田:Adjustをデータハブとして機能させるために鍵となるのが「ローデータエクスポート機能」です。ルーデル様には、Adjustの「カスタムパラメーター」機能を用いて、ログイン等のタイミングで自社のゲームユーザーIDをAdjust側に送信する設定を行っていただきました。これにより、ゲームユーザーIDと流入経路がセットになった生のデータをローデータエクスポート機能でリアルタイムかつ自動送信し、Cloud Storageを経由して自社のデータ分析基盤(BigQuery)へ連携させるパイプラインを構築しました。
──データ活用はデータの整理や整形が大変だと聞きますが、突合するために手間はかかりませんか?
細田:Adjustが提供するローデータは、網羅性・緻密性に優れているものと自負しております。お客様が必要なカラムを自由にお選びいただけるため、一から複雑なデータ加工を行う手間を大幅に削減できます。また、取得可能なデータについては最大限広告IDに紐付けて出力しています。
大杉:Adjustの強みは、データがレコードとしてきちんと整備されている点にあります。お客様側はその材料をどう活用するかに注力していただくことが可能です。
吉永:データ分析に必要なデータ基盤はただデータが保管されているものではなく、分析に使用できる形式で整備されていることが重要です。Adjustのローデータは既存のデータ分析基盤へそのまま取り込んで活用できるため、分析基盤に必要な要件を満たしていると感じます。
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流入経路の特定で攻めの広告投資へ
──ユーザーの流入元がわかるようになって、ルーデルでは具体的にどのような変化がありましたか?
吉永:ユーザーがどこから来たのかが明確にわかることで、議論が格段に深まりました。細かい粒度で検討できるので、意思決定の精度が上がった実感があります。
たとえば、高いLTVを持つユーザーが特定の媒体に集まっている傾向が見られた場合、短期的なROASだけでなく、予測LTVも加味して投資判断を行っています。また、tROASを活用し、将来の売上貢献が高いと見込まれるユーザーの獲得に配信を寄せています。これにより、全体平均のROASだけを見る運用から、高LTVユーザーの獲得を重視する運用へ転換しました。
流入元が詳細にわかるようになったことで、効果の高い媒体へ投資を絞るという、攻めのアクセルを気持ちよく踏み込む判断が可能になっています。
「データの資産化」が分析の精度を変える
──ルーデルを支援する中で、Adjustを効果的に活用されているというポイントや、ここは他社でも真似してほしいという部分があればお聞かせください。
細田:ルーデル様は「データの資産化」という観点で他社より一歩抜きん出ており、ここはぜひ真似していただきたいポイントです。
たとえば、管理画面上で確認できる標準的な集計レポートは表示・保持期間に一定の限りがあるため、長期間アプリを開いていない休眠ユーザーの掘り起こしなどは困難な場合があります。一方、ルーデル様は自社でローデータをすべて取得・蓄積されているため、ローデータ取得時に遡った高度な分析やセグメントの抽出が可能です。
「今必要な分だけ」で満足することなく、データを自社の資産として蓄積・活用する姿勢は素晴らしいと感じています。
──実際のマーケティング施策や、最適な予算配分を実現するためにはデータをいかに分析し戦略立案や仮説検証していくかが鍵になるかと思います。そのためにルーデルはどのような工夫をしていますか?
吉永:Adjustのデータについては、ローデータエクスポート機能に加え、最近では「Adjust MCP」を活用して自社開発のAI分析アプリと連携させています。自社データとAdjustデータを掛け合わせることで、さらに精度の高いAI分析環境を構築し運用しています。
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AIが成果の背景を解き明かす
──Adjust MCPの特徴を詳しくお聞かせください。
大杉:Adjust MCPは、お客様のAI環境からAdjustのデータへ直接アクセスできるMCPサーバです。APIの呼び出しやSQLによるデータ抽出を行わなくても、普段ご利用のAIツールから自然言語でプロンプトを入力するだけで、データ抽出から分析まで実行できます。最大の強みは、Adjust単体に閉じず、他のプラットフォームやSNSトレンドなどの外部データを組み合わせて分析できる点にあります。
たとえば、オフラインイベントの実施をきっかけにSNS上で投稿や拡散が生まれ、それがトレンド化やバズにつながることで、結果として自然流入の増加につながるといったインサイトを、AIが自発的に仮説として抽出できる世界観が実現可能です。さらに、ルーデル様のように自社データと掛け合わせることで、これまで見えていなかった新たな仮説や示唆の獲得も期待できます。
計測の枠を超えた「自社データ基盤」へ
──Adjustとの取り組みで得た気付きがあればお聞かせください。
吉永:自分が思っていた「計測ツール」という概念を超えて、Adjustは「分析基盤」「データ基盤」として活用できるものなのだと、認識が変わりました。
LLMの技術がこれだけ進歩している中で、データ分析だけでなく、AIのためにデータを蓄積しておく「データ資産」としての価値が、さらに高まっていると感じています。つまり、自社のデータだけでなく、Adjustのようなデータ基盤を資産として活用することは、これからより重要になっていくということです。
AIを活用することが会社としても重要なミッションなので、MCPを介してAIをフル活用する取り組みをさらに進めていく中で、Adjustのデータをもっと活用していきたいと考えています。
また、ローデータエクスポート機能についても、現状はまだ流入元の特定という一部の用途にとどまっていますが、他のデータも活用することで、分析の幅をさらに広げられると期待しています。今後は「分析の深みと幅を広げる」ことと、「AI活用としてデータをさらに活用する」ことの二段構えで取り組んでいきたいと考えています。
細田:AIを用いて精度の高い予測を行うためには、根本であるデータの精密さが不可欠です。データの品質をAdjustが常に担保することで、ルーデル様は売上拡大に注力していただけるよう引き続き支援していきたいと思います。
大杉:本日お話ししたローデータエクスポート機能は、データ活用の肝となる部分です。ルーデル様だけでなく、他のお客様にもしっかりとローデータをご利用いただけるよう、その環境づくりを一緒に進めていきたいと考えています。また、AI活用という観点では「Adjust MCP」を通じて、お客様が自社で使われているAIツールでAdjustのデータを抽出し、その環境で分析いただくことも提供していますので、MCP活用の推進もしていきたいと考えております。
Adjustには日本のサポートチームもございますので、データ活用にお悩みの際は、データの取得方法も含めて、まずはご相談いただければと思います。
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和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)
IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
提供:adjust株式会社
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
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