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Criteoのコマースメディア戦略(AD)

リタゲ一辺倒から「LTVを伸ばすデータ活用」へ。ベルーナが実現したROAS36%・新規率10pt改善

和泉 ゆかり[著] / 関口 達朗[写] / MarkeZine編集部[編]

 激化する市場環境のなか、広告の獲得効率維持に課題を抱えていたベルーナ。同社はリターゲティング中心の運用を見直し、自社データを活用した新たな配信設計に取り組んでいる。結果として、優良顧客向けの配信を加えた運用では、自社ECの売上136.4%増、ROASは36%改善。かねてからの課題であった新規獲得率も、約10ポイント改善した。顧客獲得とLTV向上の両立を目指す、同社のキャンペーン設計とデータ連携の実践例について話をうかがった。

激戦のEC市場で直面した「従来手法の限界」

━━まずベルーナのEC事業について、教えていただけますか?

蓮沼:当社が扱っている商品は、レディースファッション、メンズファッション、インテリア雑貨などです。販路はECサイトだけでなく、カタログ通販や実店舗もあり、その1つとしてECがあるという位置づけになります。お客様のシェアとして最も大きいのは、60代前後の女性にご購入いただくレディースファッションですね。EC内では自社サイトの売上が最大ですが、ZOZOTOWNや楽天といった他社モールにも出店しています。

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株式会社ベルーナ EC事業本部 Eマーケティング部 部長代理 蓮沼 光紀氏

蓮沼:当社の場合、「この商品で獲得する」といった獲得商材が明確に決まっているわけではありません。たとえば、「まずはお試しセットから」「この1万円のセットから始めてください」といった決まった入口がないのです。また購入動機もターゲットも本当にバラバラで、品番が多岐にわたるだけでなく、入口そのものが多様です。

 そのため画一的な手法では対応しきれないと考え、Criteoの「Commerce Growth」でダイナミックリターゲティングを活用し始めました。これはかなり以前からの取り組みで、もう10年以上になると思います。

 一方で現在の大きな課題は、新規獲得のハードルが上がるEC市場において、いかに広告の獲得効率を維持するかという点です。おかげさまでここ数年は少しずつグロースできてはいますが、過去の成功施策にとらわれず、様々な施策を積み重ねていかなければと考えています。主力である60代のお客様だけでなく、40代・50代といった新しい層へ裾野を広げていきたい狙いもあります。

「リターゲティング一辺倒」からの脱却。目的別に描き出すフルファネル戦略

━━改めて、Criteoの「Commerce Growth」がどのような強みを持つソリューションなのか教えてください。

中田:Criteoが持つ膨大なコマースデータとAIを活用し、新規顧客の獲得から既存顧客のリテンションまで、フルファネルでお客様の購買行動を支援する広告ソリューションです。

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CRITEO株式会社 シニア アカウント ストラテジスト 中田 奈津子氏

中田:サイトを訪れたユーザーの閲覧履歴だけでなく、購買行動や商品との接触データなども活用し、AIが「このユーザーが次に何を買いそうか」を予測します。その予測に基づいて、ユーザーごとに最適な商品やクリエイティブを組み合わせた広告を表示します。「ダイナミックリターゲティング」も、この仕組みを活用した代表的な手法です。

 もう1つの特徴は、目的別に配信対象を選べることです。新規顧客を狙う「プロスペクティング」、優良顧客に絞る「プレディクティブ」など、ダイナミックリターゲティングだけでは対応しきれなかった目的にも、複数のオーディエンスを組み合わせることでアプローチできるようになっています。

━━ベルーナでは、Criteoの活用方法をどのように広げてきたのでしょうか。

片山:私が運用担当に着任した2年ほど前は、「Criteo=リターゲティング中心」という扱いで、既存のお客様にレコメンドして売上を伸ばす活用がメインとなっていました。そこで課題感を持って取り組んだのが、Criteoの学習エンジンの力を活かしながら、私たちのマーケティング目的に合わせて配信を整理し、より戦略的に運用していくという動きでした。

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株式会社ベルーナ EC事業本部 Eマーケティング部 Eマーケティング室 片山 和紀氏

片山:そこから現在は「プロスペクティング配信(新規顧客獲得)」「プレディクティブ配信(優良顧客への配信)」に加え、当社独自の呼称として「カスタマー配信(既存顧客への配信)」「ビジター配信(サイト訪問者への配信)」という4つを軸に、お客様の課題や目的に合わせて配信を分解しています。なかでも、当社のダイヤモンド会員やプラチナ会員といった優良顧客に対しては、より積極的にアプローチしたいと考えてきました。

売上136%増、ROAS36%改善!「優良顧客」を掘り起こす掛け合わせの妙

━━特に成果を感じている施策があれば教えてください。

片山:優良顧客向けに「プレディクティブオーディエンス」を活用した配信が、大きな成果を上げました。実績としては、カスタマー配信単体のみで運用していた期間と、カスタマーとプレディクティブを並走させた期間を比較したところ、自社ECでの売上は136.4%増(約2.36倍)、ROASも36%改善しました。なお、並走期間は予算も増額しています。

 当初は、通常のカスタマー配信を長年続けてきたこともあり、優良顧客に既にリーチできているはずだと考えていました。しかし実際に広告経由で購入いただいたお客様を見ると、優良顧客からの購入が想定より少なく、まだ届いていない層があるとわかりました。そこで「これはやる価値がある」と考え、試してみたのがこの施策です。

 結果として、プレディクティブオーディエンスによってロイヤルティの高いお客様にしっかりリーチできる一方、カスタマー配信では直近購入いただいたお客様にリーチできるという、きれいな補完関係を築けたことが、実績につながったと考えています。

中田:ベルーナ様は商品点数が非常に多く、それがAIの学習に有利に働いています。また、リターゲティングで安定した効果を保ちながら、新規獲得や優良顧客へのアプローチにも挑戦いただいている点が特徴的です。

自社データ(HEM)連携が生み出す新たな可能性

━━ベルーナは、自社で保有する顧客データとCriteoデータの連携にも取り組んでいるとうかがいました。連携により、キャンペーン設計にどのような広がりが生まれるのでしょうか?

中田:HEM(ハッシュドEメール)を連携することで、クライアント様が保有する顧客データを、プライバシーに配慮した形でCriteoのAIやID基盤と組み合わせて活用できるようになります。

 これにより、既存顧客への再購入促進だけでなく、優良顧客や休眠顧客といった特定グループへの配信、あるいは逆に配信対象から除外するといった活用も可能になります。さらに、優良顧客と似た特徴を持つ新規顧客を発掘できるようになるなど、キャンペーン設計の幅を大きく広げられる点がメリットだと考えています。

━━ハッシュ化により個人を特定できなくなる仕組みについてお教えください。

中田:お客様からお預かりするのは、メールアドレスそのものではありません。各社のプライバシーポリシーに基づき、利用方法の通知や必要に応じた同意取得を行った上で、メールアドレスを、あらかじめ「ハッシュ化」、つまり元に戻せない形の文字列に変換した上でお送りいただきます。

 連携方法はCriteoのOneTagや、S2S(Server to Server)、CDPなどの外部システムからのAPI連携など複数あり、各社のセキュリティポリシーに応じて選択いただけます。

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中田:Criteoでは、そのハッシュ化されたデータに対して、さらに当社だけが非公開で保有している「ソルト(ランダム文字列)」を加えた上で、もう一度ハッシュ化しています。二重にハッシュ化を行うことで、万が一第三者がデータを手に入れたとしても、ソルトを知らない第三者がハッシュ値のみから元のメールアドレスを復元・照合することは、現実的には不可能な状態で管理しています。

 日本国内では、HEM活用が、大手EC事業者様や、データ活用に積極的な企業様を中心に、認知・導入ともにかなり進んできていると感じています。今後は、広告主様側のデータ活用だけでなく、媒体社様側のログインデータとの接続が進むことで、HEMの活用はさらに広がる余地があると考えています。

既存顧客の「除外」が新規率10ポイント改善の鍵に

━━実際にHEMを連携したことで、ターゲティングや配信結果にどのような変化を感じていますか?

片山:以前は新規獲得を狙っても、結果的にボリュームゾーンである60代の既存会員にリーチしてしまい、新規率が上がらない状況でした。そこでHEMを活用し、既存のお客様を除外してプロスペクティングを実施したところ、新規率が約10ポイント改善しました。これにより新規獲得の効率が基準を満たす水準となり、さらに予算を投下していこうという流れにつながっています。

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片山:加えて驚いたのが、Criteoにおける自社データとのマッチ率の高さです。私の経験上、他社・他媒体と比較しても、マッチ率の高さが秀でていると感じます。この結果を受けて「他の場面にも活用できるのではないか」と考えるようになり、通常のカスタマー配信では届いていない層への除外配信や、購入いただいたお客様の状態に応じたセグメント配信など、HEMを活用した配信設計に取り組む機会が増えてきています。

 たとえば、カスタマー配信・プレディクティブ配信に、55歳以上を除外して40代・50代にリーチする配信を加えて運用したところ、3施策の合算でROASを維持したまま売上が約24.6%伸びました。

━━ベルーナは自社データを外部に連携するにあたり、安全性の面ではどのように捉えていますか。

蓮沼:法務にもしっかり相談し、リスクやセキュリティの担保方法を確認した上で進めました。お客様のプライバシーポリシーにおける同意は前提としてありますが、それでも万が一に備えたいという思いがありました。

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蓮沼:連携にあたっては、セキュアな環境下でデータを送る仕組みを整え、送信元と受け取り側、双方のセキュリティ体制を確認しました。Criteoはフランスで創業された企業で、GDPR基準に則った運用をされており、セキュリティ意識の高さを評価しています。また、データを一律に送るのではなく、除外したい分・ターゲティングしたいデータに限ることで、リスクバランスを取りながら運用しています。

 マーケターだけでセキュリティに詳しくなるのは難しいため、法務・情報システムの担当者と連携し、社内でしっかり議論できれば、こうした課題は乗り越えられると思います。

両社が見据えるデータ活用の「次のフェーズ」

━━最後に、今後の展望をお聞かせください。

片山:まず、レコメンドの精度向上です。商品点数が多いという当社の特性を踏まえ、Criteoがより学習しやすい基盤を改めて見直し、現時点で可能な最大限のレベルまで引き上げていきたいと考えています。

 また、クリエイティブの強化にも取り組んでいきたいです。HEMなどのデータ活用により、顧客属性に合わせたセグメント配信はできるようになってきましたが、お客様の状況に応じたクリエイティブや、反応率を高める工夫はまだ十分とは言えません。現状はダイナミック形式が中心のため、今後はクリエイティブのパターンをより広げていきたいと考えています。

蓮沼:これまではCriteoの様々なメニューをどう拡張させるかに取り組んできました。次のフェーズとしては、「どのキャンペーンに注力するか」を明確にし、キャンペーンをしっかり絞り込んでいきたいと考えています。加えて、まだ購入が1〜2回程度の「ライトなお客様」にも安定的にリピートしていただけるような広告配信にも、今後力を入れたいです。

中田:HEMは、単なるCookieの代替ではありません。自社が保有する顧客データを、プライバシーに配慮した形で広告配信やAIによる最適化に活用し、顧客獲得とLTV向上を同時に実現するための基盤として、ぜひ多くの企業様に導入いただきたいと考えています。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:CRITEO株式会社

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