ポイント6|成長戦略は3パターン。自社の課題に応じて選ぶ
田岡氏は、成長ブランドの調査から見えてきたパターンとして、次の3つを挙げた。
1.既存CEP強化
自社がすでに強い顕在CEPをさらに強くするアプローチ。そのために、既存施策の改善に加え、年代や季節といった軸で未充足を埋めていく。
「本当は取れるのに、例えば季節性で諦めているケースもあるのではないでしょうか。カテゴリーのCEP調査は年に1回だけでなく、夏と冬など季節ごとに実施することも重要になってきます」(田岡氏)
アイスやスポーツドリンクのように季節性の強い商材では、CEP自体が夏と冬で入れ替わる。年代も同様で、あるCEPで想起を獲得できていても、20代で取れていなければ、時間とともに想起は弱くなっていく。既存のCEPも360度で点検すると、まだ強化できるポイントが見えてくる。
2.新規顕在CEP強化
2つ目は、自社が獲得余地のある巨大CEPや未充足CEPを取りにいくアプローチ。本当はフィットしているのに取れていないCEPがあるなら、そこで想起の最大化を狙う。
3.新規潜在CEP成長
3つ目が今後大きくなる潜在CEPを、発掘・検証しながらカテゴリーが育つ前から想起を築いておくアプローチだ。
「今はまだ小規模でも、時代の波を受けて、このエントリーポイントは伸びるという仮説を立てられるのであれば、そこを狙っていく戦略もあり得ます。」(田岡氏)
ポイント7|CEPは動き続ける。競合は同じカテゴリーのなかにいるとは限らない
3つ目のパターンが成立するのは、CEPが固定されたものではないからだ。シュミテクトの知覚過敏も、R-1の風邪対策も、いずれもかつては存在しなかったCEPだと田岡氏は指摘する。CEPは時系列で見ると、かなり動いている。
約100カテゴリーを調べるなかで、田岡氏が最も面白かったと語るのが、カテゴリーを横断したCEP傾向だ。たとえば、リカバリーウェアの成長を受けて人が「疲れ」を言語化しやすくなり、様々なカテゴリーにおいて疲労に関するCEPが伸びている。スキマバイトやショート動画の浸透で時短や隙間ニーズに関するCEPが伸びている、ということが観察できた。
そしてCEPは、カテゴリーのなかに閉じていない。
「『朝、体が重い時』にカテゴリーとして想起されるのは、エナジードリンクかもしれないし、リカバリーウェアかもしれません。同じエントリーポイントをめぐって、様々なカテゴリー、ブランドが想起され、取り合っているのです」(田岡氏)
飲むヨーグルトの「風邪に負けない免疫力」というCEPが大きくなった背景も、風邪対策という隣接カテゴリーから、少しずつパイを奪ってきたと捉えることもできる。隣接カテゴリーから取ってくる動きがカテゴリー成長のドライバーになるケースは、よく見られる。
競合は、同じカテゴリーのなかにいるとは限らない。自社のCEPを棚卸しするなら、その範囲を隣接カテゴリーまで広げて考える必要がある。
後編では、CEPをどう発掘し、戦略へ落とし込むか。そして、AI時代にCEPがなぜ重要になるのかをレポートする。
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落合 真彩(オチアイ マアヤ)
教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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