コラントッテ:「助成想起獲得単価」を軸に、認知獲得の効率を検証
Tuissが「欲しい認知の定義」とKPI設計から入ったのに対し、コラントッテは、認知の質と効率を測る指標の選び方と、広告配信の変数の検証に踏み込んだ。
同社が認知施策で最重要に置くKPIは「助成想起獲得単価」(+助成想起獲得人数)だ。「磁気ネックレスと言えば?」と問われてブランド名が出る状態が「純粋想起」であるのに対し、「コラントッテを知っていますか?」という問いに「知っている」と答えられるのが「助成想起」である。同社は、この助成想起をKPIの中心に据えた。
新貝氏が重視したのは、CPMや視聴率、リーチ単価といった「配信」の効率を示す指標だけでは見えにくい、「成果」の獲得効率だ。本当に知りたいのは、「いくらかけたときに、どれくらいの認知が取れたのか」という、費用あたりの認知獲得結果だという。
そこで同社は、キャンペーン目標や配信面、表示回数、インプレッション単価、平均表示頻度、完全視聴率、クリック指標など、無数にある変数のうち「何が認知に最も効くのか」を徹底的に検証した。
助成想起を最大化するために、広告配信でどの変数を最適化すべきか。コラントッテはYouTube広告で、「クリック数最大化」「完全視聴数最大化」「リーチ数最大化(スキッパブル)」「フリークエンシー最適化」の4パターンを、同一KPIの助成想起獲得単価で検証した。その結果、1ユーザーに何回広告を当てるかをコントロールする「フリークエンシー最適化」の入札戦略が、最も効率的だという結論に至った。
ここで得た気づきは、リーチを広げることや最後まで見せることより、「適切な回数の反復接触」が想起を生むということだ。
加えて、「ブランドとしてどう見られたいか」を反映したクリエイティブも重要だと新貝氏は言う。既存のスポーツ選手を起用したクリエイティブだけでは、新たにターゲットとした一般のビジネスパーソン層へのブリッジとして弱いという課題があった。そこで、磁気ネックレスの「信頼性」「効果効能」「デザイン性」を入口とし、その後に「プロアスリートにも選ばれているブランドである」と訴求する動画広告を考案した。
このクリエイティブをA/Bテストで検証した。一方は「スポーツ選手の素材を見せた後に効果効能を伝える動画」、もう一方は「効果効能を入口とし、その後にスポーツ選手を見せる動画」だ。すると、後者の「効果効能→スポーツ選手」の順にするだけで、認知獲得効率が数十%向上したという。
「自社のブランド資産を見直し、それをどのような順序でユーザーに体験してもらうかを考えることが極めて重要です」(新貝氏)
こうした取り組みを経て、日本代表バレーボール・石川祐希選手の動画をYouTube広告で展開した施策では、新規層のリーチを拡大し、検索リフト346%、助成想起+2.7ptを達成した。
| TUISS DECOR(Tuiss) | コラントッテ | |
|---|---|---|
| 事業 | オーダーメイドのブラインド・カーテン通販(D2C) | 磁気ネックレス中心、リカバリーウェアなども展開 |
| 狙う認知 | 「ブラインドを買うなら、Tuiss」(カテゴリー想起から指名想起へ) | スポーツ層の先にいる、ビジネスパーソン層への認知 |
| 主なKPI | チャネル別ROAS/ブランドキーワードの検索ボリューム(サブKPI)/総コストに対する費用対効果 | 助成想起獲得単価(+獲得人数) |
| 主な施策 | Instagramコラボ、動画広告(YouTubeなど)、コネクテッドTV | YouTube広告(フリークエンシー最適化)、クリエイティブのA/Bテスト |
| 示された成果 | 検索ボリューム・指名検索経由のコンバージョンが大幅に増加、非ブランド広告も改善 | クリエイティブの順序変更で認知獲得効率が数十%向上、検索リフト346%・助成想起+2.7pt |
YouTubeが選ばれた理由と、認知の先に向けた次の一手
今回、デジタル認知施策の中心に動画広告を据えた両社。実施してよかった点として、新貝氏は「YouTube広告の認知獲得効率の高さ」を挙げた。
コラントッテでは、完全視聴数の最大化という条件とターゲットをそろえ、TVer、YouTube、Netflix、Amazonプライムビデオなど複数のプラットフォームで比較テストを行った。その結果、YouTube広告が最も認知獲得効率が高かったという。
「ターゲティングの粒度が他メディアに比べて圧倒的に細かいうえ、インプレッション単価や完全視聴単価を低く抑えられます」(新貝氏)
これに対して虻川氏も、「オーディエンス数とリーチ力といった点でもYouTubeはすぐれた媒体」と同意した。
最後に、虻川氏から今後のターゲティング戦略について問われた新貝氏は、現在はGoogle広告のプラットフォーム上で設定できるデモグラフィック情報を中心に配信していると説明した。そのうえで、「今後は認知だけでなく購入意向も引き上げたい」として、過去に自社製品を購入した既存顧客のファーストパーティデータをGoogleの媒体に読み込ませて配信する、いわゆる「カスタマーマッチ配信」に挑戦する意向を示した。
両社に共通していたのは、認知を「何をもって獲得できたと言えるか」から設計していた点だ。Tuissはチャネル別ROAS、ブランドキーワードの検索ボリューム、総コストに対する費用対効果を、コラントッテは助成想起獲得単価を、それぞれの事業に合う指標として先に定めたうえで、予算の逆算やクリエイティブ、入札戦略の検証を重ねていた。自社にとって欲しい認知とは何か。それを測る指標は何か。この2つに答えられるかどうかが、認知投資の出発点になる。
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岡田 果子(オカダ カコ)
IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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