見栄えだけでなく効果を意識したメールデザイン
多くの種類が存在するHMVジャパンのメールマガジンだが、ひとつひとつのデザインが、丁寧に作りこまれているのも特徴として挙げられる。これは、単に見栄えの良さだけではなく、効果の両立も目指してデザインされているという。例えば、前述のレコメンドメールのテンプレートも開封率やコンバージョン率等を考慮し、深井氏と黒田氏が随時デザイン変更を行っている。
「メールの効果測定は、別途、分析担当者がいます。そこからのフィードバックをもとに、デザインを適宜改善しています」(深井氏)
更に、店舗の情報を配信する「HMVストアニュースレター」をはじめ、HTMLを直接書き、手作業で作成しているメールも多い。これは、新譜などの情報が配信の前日に届くこともあり、手作りでないと修正対応が難しい場合もあるためだという。また、情報量が多いため、自由度の高い手作りのメールの方が、デザインしやすい場合も多いという。
「メールのデザインでは、ユーザーの目線の動きにも配慮しています。たとえば、スクロールしても目線があちこちにチラつかないよう、ファーストビューを意識し、さらに全体的にグリッドをそろえて読みやすくするなど、いかにクリックしてもらえるかに注意しています。キャンペーンの内容は複雑なものが多いので、情報を整理することが大事だと考えています」(黒田氏)
社内でまだメールマガジンへの理解がなかった時期には、店舗側の担当者から「もっとここの文字を大きく」といった、紙のチラシを作るような感覚の議論もあった。しかし、スーパーの特売チラシのようではなく、HMVとしてのトーン&マナーを保ったデザインで、かつ効果を上げるということに深井氏は地道に取り組んできたという。
「デザイン変更後の効果検証に関しては、コンバージョン率や開封率などの基本的な数値も見ますが、特に解約率を重視しています。これらの数字をもとに、デザインやコンテンツ、セグメント等のさまざまな角度から分析を行います」
「最近の例で言えば、ニュースレターに掲載するHMV VISAカードのキャンペーン情報をファーストビューで見られるようにしたり、背景色を黒くしたりするなどの工夫で、クリック数を増やすことができました。また、開封率向上のために、メールの件名にも気を配っています。件名は、短い文章でいかに受け取った人の興味を惹きつけるかを考え、人気のあるアーティスト名やセールの”30%オフ”など、お伝えする情報の肝となる文言は先頭に入れるようにしています」(黒田氏)