セキュリティとマーケティングとROIの関係
市場の冷え込みが続く昨今、売上との直接的な結びつきが見えづらいセキュリティについては最低限のコストで対策したいとの声が多い。しかし、平岩氏は自社のセキュリティ対策をメッセージ化しユーザーに伝えることで、むしろROIが向上する成功事例が増えていると、冒頭に平岩氏は指摘した。
まず、セキュリティとマーケティングの結びつきについて平岩氏は「セキュリティ対策とは意識することなくいつの間にか実感している、透過的な企業メッセージであるべきだ」と主張。
「当然、対策が甘ければユーザーのロイヤリティは下がる。しかし裏を返せば、ユーザーをファンに引き上げるきっかけにもなる」と語り、セキュリティ対策はマーケティングの活動を裏から支えしているとした。
次に、セキュリティとROIの関係に説明を加える。企業活動を進める上で、ROIを明確にすることが求められているのは事実であり、セキュリティへの投資においてもそれは同様だ。確かにセキュリティ投資でROIを測定することは難しいが、実はセキュリティ対策は売上に貢献する要因にもなり得ている。
その鍵は、セキュリティ対策を可視化することだという。つまり、いかに安全なサイトであるかという正当性を示し、ユーザーに安全という付加価値を届けるかが重要である。
ソーシャルメディアとセキュリティの関係性
続いて、平岩氏はソーシャルメディアとセキュリティの関係について言及。
自由に発言でき、かつ、爆発的な情報浸透力を持つソーシャルメディア。ユーザー目線でみると、それらが普及しさらにインターネットを多く利用するきっかけとなりつつある。また、企業側のマーケター目線では、当然ユーザーが多く集まる新たなメディアとして、注目している状況だ。
そういった状況が今後も進むと予想される中、平岩氏は「自分が“正当な情報発信者である”と主張することが重要になってくる」と警鐘を鳴らす。
「Aさんはまったく悪意がなくても、BがAになりすまして誤った情報発信をすることでAが被害を受けることになってしまいます。こういったリスクを避けるために、自分の正当性を一目で理解させることができる、セキュリティへの取り組みは不可欠になってくるでしょう」
特徴的なリスクとして、平岩氏は「なりすまし」の例を解説。その多くは愉快犯だが、一部にはなりすました相手に被害を与えることを直接の目的にする者もいるという。
こういった被害への対応方法として、ソーシャルメディアサービスの運営元は、独自の方法でアカウントの確認を行うことをはじめている。しかし、平岩氏は運営元が提供する仕組みのみに依存せずに正当性を示すことも必要であるとし、「検索サイトや自社Webサイトなども含めた、ユーザーやお客様が自社の発信情報と接する箇所において、360度の多方位的な対応が重要だ」と強調した。