オフラインでリーチできていなかった潜在層を取り込む
「Webを推進することで受注・決済処理のコストが下がってきたことに加え、カタログの印刷コストを削減できるというメリットもあります」と島氏。
同社は50種類ものカタログを発行しているが、環境問題への配慮もあり、少数の読者のみを対象とするカタログは、eカタログで対応できるようにしていきたいと考えていた。また、eカタログを作ることで、これまでオフラインでリーチできていなかった潜在的な顧客を新規に取り込めるようになるのではないかという狙いもあったという。
ただ、半年や3か月の周期で発行する季刊カタログでは50種類、小規模の発行物までカウントすれば300種類もの印刷物を作っているだけに、紙のカタログ発行やWebのリニューアルと時期を合わせて、eカタログを同時にリリースしようとするのには相当無理があった。
紙のカタログは発行ギリギリまでスペックの変更がある。紙のカタログの誌面が固まってからeカタログの制作を始めるため、そこから委託先の制作会社、印刷所、DTPクリエイター、Flashクリエイターとそれぞれに仕事を依頼して進捗を管理していると、かなりの時間が掛かってしまい、その費用もそれなりの額になってしまっていたそうだ。
eカタログ制作の時間と費用を大きく減らしたScene7
そんな課題を抱えていた時に、めぐりあったのがAdobe Scene7だった。
「説明を聞いて、FlashやDTPの専門知識が無くても、eカタログを簡単に内製できるようになると感じました。さらにSaaS型のサービスですので、われわれの設備に入れる必要がなく、Scene7のサーバから配信されます。eカタログは非常に回線の帯域を使いますので、Scene7を導入した方が、逆に回線使用料を削減できて費用が掛からなくなりそうだという判断もありました」(島氏)
島氏は会場で、実際にScene7を使ってeカタログを制作する作業を披露。印刷用の入稿データをFTPで一括アップロードするだけで、簡単にeカタログができる様をデモンストレーションして見せた。
同社はScene7を導入したことでeカタログの制作期間を大幅に短縮。コスト削減にもつながったという。
Scene7にはeカタログを発行する機能だけではなく、さらにズームビュアーを付け加える機能などもあり、素材はiPhoneやiPadなどでも共用することができる。
島氏はズームビュアーの機能を低コストで実現できるようになったことで、「商品購入の過程において、購買決定の最後の一押しになるような素材の提供」ができるようになったとし、iPhoneやiPadといった新プラットフォーム向けのカタログを用意することで「電車や家の中でもリラックスして見ていただけるようになりますので、接点の拡大につながるのではないか」と期待を語った。