アナログな部分のシステム化とセルフ式にすることで低価格化を実現
石川氏はクラウド型のWebサービスに携わっていた経験を踏まえ、既存のネットリサーチを分析。人手を介するアナログなところが多数残されているのではないかと考えた。アナログな部分を徹底的にシステム化し、利用企業側によるセルフサービスの部分をあえて残す。そうして低価格化を図ったのがFastaskなのだ。
例えばアンケート調査票の設問。利用企業側の担当者がノウハウを知っていれば、専門家に頼らなくても、設問を自分で作成できる。(前述の事前調査では、何らかの形で設問作成のノウハウを持っている企業は71.8%に上るという結果が出ている)
あるいはアンケートに答えてもらうためのWebページ。案件ごとに個別に作り込まなくてもよいのではないか。実際、しっかりとしたテンプレートさえ用意しておけば、十分なレベルの回答ページをCMSで簡単に作成することができるはずだ。
アンケート結果を集計・分析する工程にしても、利用企業側でやれる話。逆に利用企業側に任せることで、集計データをより速く届けることができるようになる。
Fastaskはそうしたことの積み重ねで原価を圧縮。従来型のネットリサーチと比べて何分の1かの料金で調査を実施できるようにしている。
セルフ式サービスの抱える問題。有意義なアンケートにするため、設問作成のガイドを用意
もちろん、セルフサービス式にすることで生じてしまうデメリットもある。
一例を挙げると、設問の作り方。7割程度の企業担当者がノウハウを持っているとはいえ、持ち合わせているノウハウのレベルはまちまち。中には、「あいまいな表現で質問してしまう」「回答が集まりそうな選択肢が抜けている」「特定の回答に誘導する質問になっている」などの問題を抱える設問が含まれているかもしれない。
「確かに初めて設問を作る時には、間違いに気付かないことがあるかもしれません。ですが、実は“コツ”みたいなものは体系的に整理されているので、これらの“コツ”さえ理解してしまえば、かなりのレベルで正しい調査票を作ることができます。だったら、専門家から教えていただくノウハウをわれわれがかき集めて、『こういうところに気を付けましょう』と促せば慣れていない方でもちゃんと調査票を作ることができるんですよ」(石川氏)
そこでFastaskでは、設問設計時に気を付けてほしい点をまとめたガイドを用意。設問を作成する際に陥りがちなミスを注意したり、よく使われる質問文についてはテンプレートを紹介したりしている。
そして設問が完成した後、モニターに公開する前のところで、Fastaskのリサーチャーによるチェックが入るようにした。モニターから有効な回答が得られるような調査票になっているかどうかを支援し、スムーズに調査に移れるような仕組みになっているのだ。