ネット広告にはない「テレビCM」の優位性
テレビ東京は現在、「テレビCMの価値向上」に向けた試みをいくつか展開している。同社のホームページでは、「CMerTV」というサービスと連携して、放映したCMを検索して視聴できるサービスを展開。また、毎週土曜に放送している『広告の番組』では、広告クリエイター等をゲストに招いて広告の裏側や面白さを紹介したり、1週間に行われた記者会見から広告主の意図を伝えている。
営業局 営業開発部 主事
田村 崇さん
田村氏が所属するテレビ東京営業局 営業開発部は、地デジ化やインターネットの普及といった変化に対応していくために2010年に設けられた部署だ。これまでのセールス概念にとらわれない、Webや他メディアとの組み合わせ提案、新たな番組形態やスキームの開発がミッションとなっている。
テレビを取りまく環境の変化を踏まえて、いまテレビCMが抱える課題についてたずねると、以下のように整理してくれた。
「現在は、マス媒体以外の新しい広告商品が増えています。インターネット広告もそのひとつですが、その中でテレビCMを選んでもらう工夫が求められています。そのためには、テレビ局としてもインターネットと連携することを含めて“テレビCMの価値向上”に取り組んでいかなければいけません。また、テレビの画面をつかってネット経由でテレビ以外の動画コンテンツを見るという選択肢も出て来ており、今後のメディア環境も注視していく必要があります。」
そうした状況のなか、インターネット広告にはない「テレビCM」の強みとは何か。
「インターネットの広告は、ターゲットを細分化してそこに間違いなく当てるという手法。それに対してテレビは細分化されないけれども、もっと広いところに当てることができる。そう考えると、1人当たりの到達コストとしてはテレビのほうが安く、しかも大きく伝わります。たとえば、インターネットでリーチを日本全国の60%とることは難しいが、テレビなら可能です。世の中を動かすほどのインパクトが出せるのはテレビであり、そこがテレビの強みなのかなと思います。」
セグメント化し、高い精度でターゲティングすることを追求しているのがいまのネット広告。それを求めているクライアントがいることは確かだが、逆のベクトルをもつテレビCMをうまく活用してほしいというのが、田村氏の考えだ。
