製・配・販それぞれが直接顧客と接触し、さらに情報を共有するべき
顧客との接点の変化に合わせて、一企業の組織だけでなく、製・配・販の関係も変わるべきだと上原教授は主張する。具体的には、情報共有と計画によって結合をもたらす「垂直同期化チャネル」、マクロ動向が見える競争が可能となる「デジタルインフラでの市場」への変化だ。
「垂直同期化チャネル」は、製・配・販がそれぞれ顧客と接触し、情報を得ることができる仕組み。リードタイム延長効果、在庫削減効果、需要変動吸収効果などが得られるという。
「デジタルインフラでの市場」では、垂直同期化チャネルに加えて「情報共有センター」を設置。製・配・販の消費者情報、在庫情報などの共有を促進する。緊急時対応効果、競争力増強効果、価値創出効果が見込めるとのこと。
企業や業種を超えた情報共有は、価値創出効果をもたらす
「企業や業種を超えた情報共有による価値創出効果」とは、冒頭で述べた、「競争関係にある企業同士であっても、データを共有することで多大なメリットを得られる」と同義。「メトカルフェの法則」では、参加者が増えるほどミクロ価値は比例定数的に増加するのに対し、マクロ価値は幾何級数的に増加するという。
最後に教授は、デジタルインフラがもたらす効果として、「ムリ・ムダ・ムラを回避できる」「情報縮約機能の創出と活用」「震災時等への緊急対応に有効である(安定性と効率性の両立)」を挙げ、「日本の企業活動にデジタルインフラが浸透するよう啓蒙してきたい」として、講演を締めくくった。
約500名が来場し、盛況を博した「スマーター・コマース・サミット2012」。全5セッションのプログラムのうち、一部の講演資料がDLいただけます。