薗田 守世氏
1981年資生堂入社。資生堂京都販売(株)の管理部、本社 財務部、大蔵省財政金融研究所 主任研究官を経て、2006~07年に台湾資生堂(合弁会社)の日本側責任者、2008~09年に中国事業部の事業管理部長を歴任。現在は、Web事業推進部長を務めSHISEIDOブランドのWeb事業を担当している。
緻密な準備を重ねてオープンした「ワタシプラス」
青葉 ――4月にオープンしたWebサイト「ワタシプラス」が好調と伺っています。提供サービスの質の高さには大変驚きました、主なサービスについて教えていただけますか。
「ワタシプラス」は、これまでの資生堂の公式ウェブサイトを企業情報サイトとSHISEIDOブランドの情報を掲載するサイトに分離し、そのブランドサイトにお客さまのニーズに応える新しいコンテンツをつけ加えて開設しました。サイトのアドレスは、これまでと同じ「www.shiseido.co.jp」としており、その点ではネット上の資生堂の新しい“顔”となっています。各種のブランドサイトを束ねる役割に加えて、新たにWebカウンセリング、店舗検索、美容情報、そしてEC機能をつけ加えました。
Webカウンセリングには24時間利用でき、お客さまが質問に回答いただく形式で最適な化粧品を提案する、「ビューティーチェック」と、ビューティーコンサルタント(BC)がライブ動画またはチャットを介してリアルタイムに応対する「WebBCカウンセリング」の2種類があります。また、合わせて4月から、業界の垣根を越えて美容や健康の情報を提供するポータルサイト「Beauty & Co.(ビューティー・アンド・コー)」も開設しています。
青葉――「ワタシプラス」のサービス開始のきっかけについて教えてください。
これまで当社のWebの取り組みは、子会社では早くからECを始めていましたが、(株)資生堂では企業情報とブランドが発信する情報が中心だったので、ネットの活用という意味ではまだ取り組むべきことがあると認識していました。
この数年でネット環境やデバイスが整い、もはやインターネットはポケットに入れて持ち歩ける時代になっています。生活者も変化し、ECの利用も若年層を中心に50代くらいまではほとんど一般化していますし、60代以上でも抵抗のない人が増えています。そうした中で、我々がオンラインによるサービスを構築しないまま、果たして21世紀にも存続していけるのかというと、答えは明らかです。時代や生活者の変化に合わせずして、企業は存続し、発展を続けていくことはできないと考えます。
ですから、Webを活用するという構想自体については、もう何年も前から検討を重ねていたのです。オンラインで店舗と同じ商品を販売するにあたっては、これまで当社の商品を販売していただいている取引先のご理解を得るのに、かなりハードルが高いと考えておりました。その部分を「ワタシプラス」では、店舗検索や店舗と連動したサンプリング施策などでお客さまに店舗への来店を促したり、店舗を支援する機能を「ワタシプラス」に装備して店舗にご利用いただくことで、取引先のご理解を得るようにしました。
「ワタシプラス」は決してECをメインに立ち上げたものではなく、インターネットの時代にお客さまに対して商品、美容・店舗情報、商品の使い方をワンストップで提供し、お客さまの化粧生活をもっと楽しく、豊かなものに変えていく“次世代ビューティーソリューションサービス”として構築しました。