ユーザーと広告主、双方のニーズを満たす技術
行動履歴をはじめとする様々なデータからターゲットオーディエンスを選定することは、今や高精度で可能になった。どのターゲットにどの商品をお勧めするべきか、そのターゲットにリーチする回数やタイミングもアルゴリズムによってコントロールできるようになった。課題は、肝心の商品の魅力を伝えるクリエイティブの大部分を、広告主に依存している現状だろう。
ユーザーが購買行動を決定する要素は様々だが、特に大きな構成要素としては、商品スペック、価格、在庫などだ。これらは、広告主側のステータスが常に変動するため、情報の鮮度を高く保たなければならない。つまり、「在庫がないもの」を広告のクリエイティブに反映するわけにはいかない。取り扱いの有無が分からない、値段が分からない、そんなクリエイティブでは効果が最大化されない事は容易に想像がつく。
もちろんそれらの商品ステータスをデジタルに管理している広告主は多いが、広告プラットフォームを意識した柔軟に拡張できるデータベースにはなっていないことが多い。この状態では、魅力的な広告商品が出現するたびに、自社のデータベースを広告側にあわせる開発が必要となり、その都度費用と労力がかかってしまう問題があった。そのような課題を解決するために、オプトとグループのTAGGYで開発したのがMulch Chanel Publisher(MCP)だ。
現状、MCPをメインで使って頂いているクライアントは、旅行、不動産、ショッピングをはじめとしたデータベース内容を掲載する業態である。たとえ商品点数は少なくとも、そこに商品スペック、在庫、価格、など掛け合わせると、人力での管理はほぼ不可能になる。そして当然であるが、サイトに訪れるユーザーのモチベーションは人それぞれ。漠然としたターゲット像に対する単一のコミュニケーションではなく、ユーザー1人1人に適したコミュニケーションが必要になる。このような広告主のニーズを満たしていくために、我々が存在する。
MCPが構築するユーザビリティの高い購買環境
MCPは広告主の商品に関する情報を取得し、その情報を広告プラットフォーム側に送信する。その方法としては、広告主のニーズによってサイトのクロール、もしくは商品データベースからの出力がある。いずれにしても、商品データを取得し、適正化(変換)を行い、規定のファイルフォーマットで出力している。現時点で対応している広告商品はレコメンド広告を中心に以下の通りだ。もちろんニーズがあれば、対応は広げていく。
今後は、ショッピング比較アプリ、バーコードスキャンアプリなど、スマートフォンでのショールーミングニーズへの対応まで広げていきたいと考えている。加えて、ECだけでなく、旅行や不動産などへのニーズにも拡大していきたい。例えば、Googleは物販中心のGoogleショッッピング以外にも、海外のドメインでは飛行機チケット比較やホテル価格比較もサービス提供している。残念ながらまだ日本ドメインでの展開はされていないが、ユーザーニーズ、広告主ニーズは非常に強いだろう。
ユーザーはモノやサービスを手に入れる時に、オンラインとオフラインを区別したりしない。自由に実店舗とwebサイトを行き来して、類似商品と価格や性能などを比較する。常に携帯するスマートフォンはその行動をさらに促進するだろう。つまり、これからは商品がデジタルに管理されていることが売り上げの拡大に直結する。データベースがデジタルに管理されていれば、ユーザーはダイレクトにデータベースにアクセスできる時代が到来した。オンラインとオフラインの垣根は非常に低くなったと言えるだろう。ただし、そのようなユーザーにとって便利な環境が整備されるにはまだ時間がかかりそうだが、MCPはそんな時代の構築を後押しするだろう。