IBMやOracleの進出で賑やかになるデジタルマーケティング業界、Adobeの戦略は?
Q:IBMやOracleがデジタルマーケティング業界に進出してきたことに対しての見解は?
「私たちが興味を持っているのは、カスタマーエクスペリエンスというユーザー体験の部分です。デジタルマーケティング領域におけるカスタマーエクスペリエンスとは、ビデオや写真などのコンテンツが非常に重要です。
そしてコンテンツという領域において、弊社は長年培ってきた歴史と、Adobe Creative Cloudを持っています。そこを理解していることが私たちのアドバンテージです。
そしてもう一つ、Adobe Marketing Cloudにおいて全てをインテグレーションできます。27ものツールを、シンプルに5つのソリューションにまとめました。CMOやマーケティング担当者がテクノロジーを考える時に、シンプルに理解できるようにしたことが私たちの強みです」(ロニ・カオ・スタークさん)

(右)米アドビ システムズ社 SVP 兼 CMO アン・ルネスさん
またこれと同様の質問に対して、他のセッションで同社のSVP 兼 CMOのアン・ルネスさんは「IBMやオラクルはITの会社です。そんな彼らと違って、私たちは彼らよりもマーケターやクライアントのニーズをより深く理解しています」と答えていた。
そして、同社 社長 兼 CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏は「私たちはクリエイティブのDNAを持っています。それによって、他社にはないソリューションをクライアントに提供することができます。今後、このデジタルマーケティング業界に競合他社は増えてくるでしょう。もちろんそれは意識していますが、私たちとしては他社にはないユニークなビジョンを持っています。それがAdobe Marketing Cloudで提示しているビジョンであり、他社を大きくリードしています」と語った。
今回のSummitにおけるアドビの主たるメッセージは、組織や会社の壁を越えたマーケターとクリエイターの共同作業の効率化、デジタルアセット管理の合理化、モバイル対応の強化の実現及び重要性であった。
その中でも特に、アドビが得意とするクリエイティブ領域とデジタルマーケティング領域の統合という点は、この市場に参入してくるIBMやOracleなど各社への、アドビのアドバンテージに直結するのか。この視点に留意しながら、今後も競争が激化するデジタルマーケティング業界の動向を引き続き追っていきたい。