コンシェルジュのように、ユーザーとコミュニケーションする
ソーシャルリスニングによるマーケティング活動の推進に取り組むネスレ日本。現在ではさらに一歩進めて、ソーシャルメディア上でのユーザーとの積極的な対話を通してマーケティングや顧客サポートに活かすアクティブサポートに着手している。商品について投稿しているユーザーに直接話しかけ、困っていることの解決や、より深い情報収集につなげている。
「ツイッターだと文字制限もありますし、気軽につぶやかれているので真意が分からないこともあります。文脈を正しく知り、さらなるヒントを得るために行っています」(田代氏)
仕組みとしては「カスタマーリングス」というツールを用い、コミュニケーターが行っている。「カスタマーリングスを活用することで、顧客の前後のつぶやき、そしてプロファイルなどの必要な情報を一つの画面で見ることができるようになりました」と小町さんは語る。投稿の把握、話しかける内容の下書き、その承認と返信の実行までを一つのツール上でスムーズに行うことができる点を評価していた。
また、「アクティブサポートの仕組みは、デパートのコンシェルジュのような役割」と、マーケティング&コミュニケーション本部 コンシューマーリレーション 部長の野崎善教氏は話す。「いろいろなお客様がいらっしゃるので、お客様の様子を見ながら声をかけるイメージです。ただ、適切な距離感には留意すべきだと思っています」(野崎氏)
対話を通して潜在的な顧客ニーズを探り、アイデアへ活かす
同社が「カスタマーリングス」を導入したのは昨年の7月。ソーシャルリスニングをするうちに、「やはりもっと深く聞いてみたい」と感じる投稿が散見され、アクティブサポートを行う前提で適したツールを探し、取り入れたという。また同社は、企業が提供する製品・サービスの象徴的なユーザーモデルである「ペルソナ」を、アクティブサポートで培った経験をもとにコミュニケーターが作成する試みに取り組んでおり、より深く自社の顧客を理解することに役立てているという。
「“炎上”のリスクマネジメントの観点からも、しっかりフローを守ることができ、かつ効率的で、当社の体制に合わせてカスタマイズできることなどがポイントでした」(田代氏)
そして、すでに対話から得られた情報をコーヒーマシーンの細かい改良などに反映しているという。カスタマーリングスは即時的なレポート作成などにも優れているため、「例えば新製品の反響をマーケティング部門内ですぐに共有するなど、簡単に使っています」と小町氏。チャートやグラフなどのビジュアル表示は説得力があり、社内の関心喚起にも役立っているようだ。
ツールの導入も含め、年々業務を進化させていく中で、「次は潜在的なニーズの把握に取り組みたい」と田代氏は展望を語る。
「現状でも、いろいろな分析方法を気軽に試せることで、以前より随分と新しいアイディアが生まれるようになっていると思います。ただ、お客様は自分が気づいていないことは当然つぶやかないので、半歩先のニーズをどう読み解くかを考えていきたいです」(田代氏)
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