キーワードはネットワーク化
まず、加藤氏はこれまでのインターネット広告の変化について解説した。インターネット広告における最初の大きなトピックは1996年のYahoo JAPANの登場だ。当時のYahooは、インターネットをすることイコールYahooと言っても過言でないほどの強い影響を及ぼした。ページビューは1997年7月に一日500万PVを突破。以後も急激な増加を続け2004年10月には10億PVを突破し、現在でも増加を続けている。
次の大きな変革は 2000年登場のGoogleである。ただし、登場した当初のGoogleは、どちらかといえばニッチの存在で、インターネットのヘビーユーザーの間で使用されていたという存在であった。なお、Yahooはその当時、単体で国内ユーザーのリーチの70%を占めていたほどである。一方、これに対抗するためGoogleは、ニフティ、BIGLOBE、Infoseek(楽天)などとの連携を行って広告を配信、ネットワークを拡大する戦略をとった。さらに、動画配信のYouTubeを買収するなど、ネットワークの充実に努めてきた。
Googleの躍進に脅威を感じたYahooも単体での拡大戦略から転換し、Googleに対抗してSNSのミクシィ、リスティング広告のovertureなどとの連携を図り、ネットワークを拡大する戦略を進めている。現在でも、日本におけるインターネット検索のトップはYahooだが、Googleの成長率は非常に高く、2強としてYahooに迫ろうとしている。このように両者の変遷を見てきて分ることは、インターネット広告分野での事業拡大には、「ネットワーク」というキーワードが不可欠だということだ。
より多くのメディア、データを結びつけることが重要
これからは、より多くのメディア、より多くのデータを結びつけることが競争を勝ち抜く上で重要になってきている。そして、それを可能にしたのは、API(Application Program Interface)なのである。APIは検索サービスにとってのメリットだけでなく、広告主側にとっても、APIを活用することで高度な広告管理が可能になると加藤氏は強調する。YahooのOverture、GoogleのAdwordsといったリスティング広告においても、APIは開放されており、それらの活用で、広告効果をより高めていくことが可能だという。
なお、リスティング広告(検索連動型広告)とは、検索サイトを使用した際に、入力したキーワードと連動し、検索結果に表示されるリスト型のテキスト広告。検索結果ページの上位に広告が掲載がされるため、検索したユーザーに対して、ダイレクトにアプローチできる点が最大の特徴だ。
加藤氏は、リスティング広告におけるAPI活用例として、具体的な事例紹介を行った。最初の事例は、同一管理画面で複数の検索サイトを一元管理することで、広告管理工数を削減したケース。従来であれば、overture、Google Adwordsのそれぞれのネットワーク単位で、広告の管理画面を用意する必要があり、管理者の二度手間になっていた。これもAPIを活用することでデータを連動、リスティング広告を効率的に管理できる。特に、大規模なリスティング広告を展開する広告エージェンシーや広告主 にとってはメリットが大きい。