顧客がLINEを使っているならば、企業もLINEで情報発信すべき
同社はLINE@の友だち数を増やすために、店舗のスタッフが店内でLINE@の友だちになるとクーポンを配布することを呼びかけている。LINE@の活用を進めるにあたって、2つの課題があるという。

「一つ目の課題は、その場の利益が下がってしまうことです。もともと買おうと思っている方に対して、クーポンを発行した場合、会社としての利益率は単純に下がります。本当は買おうかどうか迷っている方に対して、クーポンで最後の後押しをしたいですよね。
そしてもう一つは、顧客データの問題です。LINE@よりもメール会員に登録してもらったほうが、個人情報を得ることができます。会社としては個人情報をデータベースとして蓄積することで、CRMとして活用していくことができます」
この2つの課題に向き合いつつも、「顧客視点で考えれば、目的に応じた使い分けをしながら、LINE@は積極的に活用していくべきツールだと思います」と宮崎氏は思いを述べる。

「お客さまの視点から考えると、メール会員登録の為に住所や生年月日を入力をするのは、手間ですよね。その一方で、LINE@の友だちになるのは、ほとんど1クリックで簡単に登録できます。その場の利益は下がるかもしれないが、その後も継続的にLINE@でつながったお客さまにお店に来ていただいて、クーポンを利用して買っていただけるようにしていきたいです。
LINEはすでに、国内4,700万人超のユーザーを抱え、インフラになりつつあります。そんな状況下で、自社のメンバーズ会員にこだわっていたら、お客さまを取り逃してしまうリスクがあります。お客さまとのタッチポイント、チャネルは全て利用していきます。お客さまがLINEを使っていれば、企業側としてもそこで情報を発信していくべきです」
企業がいかに顧客をハンドリングするかを考えるよりも、顧客自身が企業の情報を得やすく、かつ店舗に来やすい環境を整えることが重要だと宮崎氏は示唆する。
LINE@で新規ユーザーは獲得しにくい?
店舗のスタッフの努力により、既存顧客のLINE@友だち化は進んでいる同社だが、一方で店舗にまだ来たことのない新規顧客の獲得には苦労しているという。
「すでにLINE@でつながっている方は、お店に来てCDを買う傾向のあるお客さまです。気付きやお得な情報を届けることで、店舗へ来るきっかけをつくり、その方々の来店リピート率を上げていきます。
新規顧客の獲得に関しては、自社内のLINE@施策だけでは厳しい状況です。Twitterなど他のソーシャルメディアで紹介して流入を促したいですね。今後は、他企業とのコラボレーションに取り組んでいきたいです。例えば、LINEの施策に取り組んでいる他企業と一緒にLINE@のキャンペーンを行ったりできればと思います」

今後の展望をたずねたところ、「月額5,250円とはいえ、コストがかかっていることには変わりないので、クーポンの利用率など効果を測りつつ、継続して利用していくかを判断します」と宮崎氏。
「ただ、私としては、今は14店舗で活用していますが、その他の店舗でも活用していきたいと思っています。首都圏型のソーシャルメディアが多い中、LINEは日本の人口分布と同じようにユーザーが全国に散らばっていると言われています。そのメディア特性をうまく活用して、メリットを享受できるような施策を行っていきたいです」
LINE@活用術はMarkeZineの連載「あなたのお店を繁盛店に!LINE@活用術」に詳しく解説してあります。ぜひご覧ください!
第1回:LINE@をはじめよう!サービスの理解から戦略立案まで
第2回:LINE@アカウントの友だちを増やそう!お店やWebでの友だち獲得方法
第3回:LINE@で売り上げを伸ばそう! お店にお客さまを呼び寄せるメッセージ配信のポイント
第4回:さらに効果を高めよう!LINE@のデータを分析して運用を改善しよう