最終的に一番高く広告を配信できるRTB取引の仕組み
まずユーザーが広告枠に接触すると、SSPが保有するデータからどういうユーザーかを判別する(1.インプレッションの発生)。判別後、DSPにリクエストをかける(2.Bid Request)。adingoの「Fluct」では、ここで25程度のDSPへ通知しているという。ちなみに、必要な情報はDSPによって異なる。次にその情報を受けて、各DSP内でオークションが行われる(3.DSP内でオークション)。そのDSPと接続する複数の広告主が、「このユーザーなら80円で買う」「今回は要らない」などのレスポンスを返す。「いわばDSP内で代表選手を決める、予選のようなもの」と小澤氏。
各DSPでの対応が決まると、SSPへ返される(4.DSPからBid Response)。これがつまり本選になる。SSPでそれぞれのDSPのリクエストを確認し、処理していく(5.SSPで各リクエストを処理)。まず、買わないと反応したDSPを排除し、残っている各入札額がフロアプライス※1を上回っているかを確認。そして、フロアプライスを上回っているものの中で、最も高く入札したDSPが勝者となる(6.SSPで勝者と価格を決定)。
ただし、取引は勝ったDSPが提示した入札額で行なわれるわけではなく、2番目に高い入札額に1円を足した額が実際の取引額となる。「仮に80円と100円で競った場合、100円と入札した広告主になりますが、入札額は81円になります。オークションにおけるこの仕組みを、セカンドプライス方式といいます」こうして広告が配信され、決定金額がDSPに通知される※2(7.広告の配信と金額の通知)。
※1 フロアプライスとは広告枠の最低落札金額のこと。メディアが手動で設定することもできるが、基本的には機械的に決まることが多い。
※2 フロアプライスよりも高額の条件を出してきたDSPが1つだけの場合も、セカンドプライス方式が適用されることが多い。この場合、フロアプライス+1円で配信することになる。
0.1秒で決まる取引「SSPの頭の良さ」が重要
これら一連の流れが約0.1秒のうちに行われ、最終的にそのユーザーの接触を最も高い値段で買おうとした広告主の広告が表示される、というわけだ。ちなみに広告主の側から見ると、配信までにはまずDSP内のオークションに勝ち、次にフロアプライスに勝ち、最後にDSP同士のオークションに勝つという3段階の勝ち抜きが必要になる。「もし、広告主側で『当社の広告がほとんどRTBでは配信されない』という場合は、どこで負けているのかを確認すべき」と小澤氏。
また、0.1秒というスパンを考えても分かるように、SSPとDSPのサーバーが物理的に離れていると、DSPは入札に参加できない。レスポンスが遅いと、SSPは自動でオークションを締め切ってしまうからだ。
ここまでは、基礎知識として知っている人もいるだろう。「ここからは、少し特別な情報を紹介したいと思います。SSPにとって大切なことが2つあります」と小澤氏は切り出す。
ひとつは、SSPが接続しているDSPの数だ。数多くのDSPから入札があれば、それだけ高く配信できる可能性が高まる。「しかし、この点はSSPが成熟してきたことで、最近はそこまで差がつかなくなっています。Fluctでは25程度のDSPと接続していますが、各社とも20~30、スマートフォンを合わせて50程度が現状です」。より重要なのは、2つ目の「最適なものを選ぶという、SSPの“頭の良さ”」だと小澤氏は強調する。
「いかに収益性の高い広告を配信する仕組み、ロジック、ノウハウを持っているか。SSP選びでは、その見極めが大事です」小澤氏によると、仮に前述の「接続パートナー数」がごく少なくても、選択肢の中から最も賢い選択ができるかどうかのほうがずっと重要だという。
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