声を聞く技術
四家
喜山さんはもう10年積み上げて、しかも書籍まで書かれてきちっと整理されたうえで、次のアプローチを探されているのだと思いますが、リサーチとプロモーションの関係とか、ただひたすらネットの中をウォッチし続けるだけの人とか、逆に生の声がありゃいいんだと安易にペイ・パー・ポストに走ったり。個人的に一番気になるのは、たとえばブロガーに商品を貸し出したりしますよね。
喜山
はいはい。
四家
いろいろ書いてくれる。これに対して企業側が何にも言わないケースがあるんですよね。肉声に対して肉声で答えないというのかな。
喜山
何も言わないというのは、書いたブロガーの記事に対して、ということですか?
四家
喜山
ああ、それは、それこそ「もったいない」。
四家
会話の積み重ね実績がなくて、新しいものに飛びついちゃうとこんなことも起こるんですよね。要するに「聞く技術」がない。
喜山
典型的な、素直な、シンボリックな例ですね。聞く姿勢、といってもいいのでしょうね。
四家
ですね。これもたぶん経験によって軌道修正されるものだと思いますけど、そういう意味では、喜山さんの10年分の蓄積というのは貴重で、それが1冊2000円もしない書籍にまとまっているんだからすごいよなと思います。
喜山
いやいや、まだまだです。ときに、ご紹介いただいたブログ、いい感じですね。「聞いてます」と表明することって、そうですね。
四家
まあ要するに、喜山さんの「聞く技術」読んでおけばいいんですけどね(笑)。
喜山
実践の場は開かれた。ここで、どう聞いて、話すか、ですね。その「生の声」に耳を澄まして、商品のベネフィットを知り、消費者ウォンツを知る。商品が買われる不思議さに繊細にアプローチできればと思います。
四家
ああ、いいですね。「商品が買われる不思議さ」。
喜山
プロポーズと応諾のように、想いと価値がやりとりされているわけですから。そこを紐解きたいし、また、紐解くに値する商品と消費者の出会いづくりを支援していけると面白いです。
四家
なるほど。なんというのかな。ネットの中で実践を重ねて成果を挙げてこられたマーケターの方は他にもいらっしゃると思うんですけど、喜山さんは実績を挙げながら やはりなにか紐解きたいというか、知りたいという部分が根底にありますよね。だから喜山さんの著作は、ノウハウが詰まりながら、ノウハウの羅列にならずしっかりした理論があり、使えるものでありながら読んで面白いというか。
喜山
紐解きたい、はい、そうかもしれません。ぼくは文芸批評が好きなので、商品を対象にした批評をやりたいのかもしれません。小説を対象にすると文芸批評。商品を対象にするとマーケティング。そんなアプローチをしてみたい。