「どこに頼むか」ではなく「誰に頼むか」
押久保:BICプロデューサーズは、気鋭のプロデューサーたちを束ねた会社ということになるのでしょうか。
横山:はい、そうです。クライアント課題に応じて必要なエキスパートたちを最適な形でチーム化し、プロデュース、ディレクションすることが役割です。プロデューサーを立たせる理由はマスからデジタルまで横断してプランニングできる能力は、非常に属人的だからです。会社に蓄積されたノウハウも大事ですが、やはり「誰に頼むか」が成果を左右します。

押久保:案件ごとに、最適なプロデューサーをアサインし、彼らがチームづくりから行う。
菅:そうですね。先ほど分断化の話が挙がりましたが、BICプロデューサーズが掲げるキーワードは「De-fragmentation」です。PCのハードディスクを整理して最適化する処理をデフラグと言いますが、それと同じで、断片になってしまったさまざまなマーケティングコミュニケーションを3つのソリューションでつなげていきます。
その1つ目が、断片になったプレーヤーや施策をつなぐ、チームビルディングです。よく、オウンドメディアの立ち上げなどに際して何社かで競合コンペをするといったケースを耳にしますが、前述のBICパートナーズの参画企業のように、それぞれの事業者には強みがあります。
場合にもよりますが、競合させるのではなく強みを活かしてベストな布陣で臨むのが、マーケティング成果の最大化につながります。そのプランニングから、つまりチーム設計から行います。
打ち手の案がない指標の測定は意味がない
押久保:なるほど。2つ目と3つ目は、どのような“デフラグ”なのですか?
菅:2つ目は、データを扱う技術とコミュニケーションをつないだシナリオプランニングです。今、データは膨大に取得できますが、そこからクラスタを導き出してペルソナを立て、コミュニケーションのシナリオを描くところまでが結びついていません。データの技術とコミュニケーションの両方に価値を見出したプランニングは、BICプロデューサーズの非常にユニークなポイントなので、サービスのコアにしていきたいですね。
3つ目は、プランニングとアクチュアルをつなぐこと、つまり成果をしっかりと把握してPDCAを回していくことです。この3つがソリューションの軸になります。
横山:3つ目のPDCAを回すことが、実はとても重要だと私は思っているんです。企業がマーケティングプロジェクトのPDCAを精緻に回せるようになると、世の中が変わるはずです。
押久保:それは、よほどのインパクトがあるとお考えなんですね?
横山:ええ。Plan、Do、Check、Actionといいますが、そもそも企業のキャンペーンではアクションにつながらないチェックをするケースが未だに多いのです。打ち手のないまま効果を調査して数値化しても、仕方がないですよね。