米1,000万ユーザーが使う動画の請求書「video bill」
MZ:なるほど、人によって本当に1本1本違うんですね。
ウェラー:ええ、完全にパーソナライズされた内容です。個別の動画を数えると、サービス開始してから今年の6月までに約5億本もの動画を生成・配信しました。米国では「video bill」はかなり普及していて、当社でも毎月約1,000万ユーザーに配信しています。使用状況を踏まえたプラン変更の提案なども、動画だと分かりやすいので、モバイルキャリアだけでも主要4社のうち3社が当社のスマートビデオを使っています。
個別事情を加味した訴求が有効な業種でいうと、ほかに保険会社などの利用も多いですね。それから、旅行会社ではクロスセル・アップセルの提案にも使われています。
MZ:旅行会社の事例は、どのような内容ですか?
ウェラー:例えばバハマの複合型リゾートホテルのアトランティスでは、ホテルの予約客にスマートビデオでアプローチしています。予約直後に、予約の確認を兼ねて、オプショナルツアーやレストランの案内をしているんです。カップルなのか、ファミリーなのかなど、構成メンバーによってレコメンドの内容を変え、レストランを予約済みならそれは除外するなど、パーソナライズした内容で売上獲得を実現しました。
加えて、到着30日前と3日前にもスマートビデオを配信し、期待感を高めてキャンセルを防ぐのにも活用されています。旅行後のアンケート回答促進も動画で行っているんですよ。
期待感高める旅行会社のオプショナルツアー案内
MZ:旅行のような商材だと、動画での訴求は期待感を高めるのに効果的ですね。
ウェラー:そう思います。ファミリー層に、子供が楽しんでいるオプショナルツアーの動画を見てもらえれば、テキストと画像での紹介よりもはるかにイメージしやすい。請求書のような理解し難い情報をすんなり理解できるのも動画の利点ですが、エモーショナルな訴求ができることも、大きなメリットですね。
レストラン予約の案内などは、実際に行ってみてレストランが利用できないと顧客満足の低下につながるので、これを防ぐ意味でも効果を発揮しています。
MZ:先ほど、動画はリアルタイムに生成すると言われましたが、例えばアトランティスの例だと事前に企業から動画などの素材提供を受け、メールやアプリでの配信のタイミングでユーザーに合わせて組み立てて配信しているのですか?
ウェラー:基本的には、そうですね。事例ごとのロジックに則って、映像や音声、ナレーションなど最適な素材をピックアップして動画を瞬時に生成しています。必要に応じて、当社のクリエイティブチームが映像やアニメーションなどを手掛けることもできます。
日本の事例で、保険の更新時に使うアニメーションを制作したケースがあります。ストーリーやブランドイメージを頂き動画のベースを固め、「○○様」と呼びかけるナレーションは2,000種類くらい録音しました。顧客名などは一度制作すれば再利用できるので、投資対効果は高いです。