「実現したい」熱量を持って、悩まずに前へ進む
西村:コミュニケーションは、あくまでマーケティングを展開するための手段ですから。実現したい施策が明確なら、あとは実現に向けて手を尽くすのみです。やりたいことが実現できるなら、すぐにチャレンジする。そこに時差があると、新しい施策が見つかったときに悩んでしまうので、私は常に「やりたいこと」と「できること」を一致させておきたいんです。
また、新たな施策を進めるにあたっては、常にPDCAサイクルを回していくことが重要だと思っています。経験則にこだわらず、まずはやってみよう、という土壌はつくるようにしています。
友澤:デジタルならではの利点を活かせるスタンスですね。
西村:右肩上がりが続く施策はないので、頭打ちになる前に仕組み化して維持しながら、次の策を打つ。決断が遅いとその間に先行者メリットもなくなってしまうので、悩まずにシンプルに回したいんです。
友澤:先ほど“熱量”と言われましたが、泥臭いかもしれないけど、当人の熱量は大事ですよね。なおかつ、自分の主張に巻き込むよりも、ときには相手が発散していることに意図的に巻き込まれながら、目的に近づく方がスムーズだったりする。私は最近、実は“巻き込まれ力”が大事だと各所で話しているんです。
「一人十色」の時代、瞬間のモチベーションをどう捕らえるか
西村:なるほど、相手の主張に“巻き込まれ”ながら、うまく着地点へ誘導するようなやり方ですね。
友澤:その力が、社内だけでなく社外にも働いているから、グループ会社や我々のようなパートナー企業もドライブしているのだと感じました。
今、CRMの意味合いがすごく広がっていますよね。以前はDMのような、自社データを使った深いコミュニケーションを指していました。これは今後も大事だと思いますが、加えて冒頭でお話いただいたANAカードの施策のように、Yahoo! JAPANで分かるユーザーの興味関心データとの掛け合わせで、潜在顧客層へのアプローチまでCRMの範疇になってきています。
西村:まさに、そこがヤフーさんとの協業の醍醐味だと思っています。リーチを確保しつつ、自社データと付き合わせれば縦に深くなる。これが大きいです。
友澤:今は「十人十色」を超えて「一人十色」と言ってもいいくらい、一人のユーザーの中にさまざまなパーソナリティーがあり、時と場合によってモチベーションも変わります。そうすると、趣味趣向や過去に見てきたものが、効果のあるターゲティングやクリエイティブを見出すのにさらに重要になると思います。
西村:同感です。現状、ヤフーさんとの取り組みでは検索など行動ベースでセグメントしていますが、今後は逆に「こういうセグメントの人がどんな行動をとっているのか」という、セグメントベースでの施策も探りたい。当然、こちらも仮説を持つことが前提ですが、そういうキャッチボールもできるといいですね。
参考リンク:Yahoo! DMP