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新体制となったビデオ広告DSPのチューブモーグル プレミアム性を担保し日本市場へさらなる攻勢

 ビデオ広告を中心としたDSPを展開するチューブモーグルが、この7月に日本のトップとしてビデオ広告の知見の厚い近藤弘忠氏を迎え、日本市場にさらに力を入れる構えだ。「日本の広告主や広告会社とともに、このマーケットを拡大したい」と語る近藤氏。就任に際して来日した米国本社CEOのブレット・ウィルソン氏、アジア担当副社長のスーザン・サロップ氏を交えて、ビデオ広告DSPの可能性をうかがった。

バイサイドに特化したビジネスでクライアントへ貢献

MZ:7月21日、株式会社TubeMogulの代表取締役社長に近藤さんが就任されたと発表されました。これまでのご経歴をうかがえますか?

TubeMogul Co-Founder and CEO ブレット・ウィルソン氏(写真左)株式会社TubeMogul 代表取締役社長 近藤弘忠氏(写真中央)TubeMogul アジア担当副社長 スーザン・サロップ氏(写真右)
TubeMogul Co-Founder and CEO ブレット・ウィルソン氏(写真左)
株式会社TubeMogul 代表取締役社長 近藤弘忠氏(写真中央)
TubeMogul アジア担当副社長 スーザン・サロップ氏(写真右)

近藤:2000年からネット広告に携わっているので、今年で業界歴は16年目になりますね。約10年ヤフーに所属した後、直近の5年間はグーグルにてYouTubeの広告セールスを率いていました。特にこの2年間は、広告会社営業部の本部長として、広告会社向けのセールスに携わってきました。

MZ:前職でビデオ広告を扱われていたら、TubeMogulのこともご存知だったのですよね。なぜ、移られたのでしょうか?

近藤:2013年にTubeMogulが日本で営業を開始したときから、もちろんその存在は知っていましたし、興味深く思っていました。

 当時は媒体の立場で、ビジネスパートナーである広告広告会社と向き合い、競合他社に差別化できる特色あるサービスを模索していました。

 クライアントにとって最適なソリューションを提供し、最終的にクライアントのビジネスを大きくすることが我々の目的だったわけですが、その点ではバイサイドに特化したビジネスを展開するTubeMogulであれば、クライアントへの貢献をさらに探ることができる。そういうポジションにある会社だと思いましたし、縁あって声をかけてもらってお二人とも話をする中で、ぜひ参画したいと考えました。

グローバルでも拡大を続けるビデオ広告市場

MZ:約半年前、アジア担当副社長のサロップさんにインタビューにお応えいただいた際、TubeMogulは日本で営業を開始して約2年でクライアントを200社にまで伸ばしていると聞きました(参考記事)。そんな成長も、参画の決め手のひとつでしょうか。

近藤:もちろん、そうですね。この半年でさらに伸び、現在は250社近くになっています。まだまだ右肩上がりですね。

MZ:日本のビデオ広告市場の伸びを、どうご覧になっていますか?

近藤:この2年ほどで、やっとビデオ広告が存在感を持ち始めたと思います。まだ、道半ばですね。これからDSPは伸びる分野であるだろうと確信していますが、中でもビデオ広告は必然的な選択肢になりつつあります。

 当社では広告掲載面の可視化にこだわり、透明性を担保しているので、これからビデオ広告を使おうとしているブランド企業のニーズにも応えられます。そういったサービスの充実も、裾野を拡大していくと思いますね。

MZ:ブレットさんにうかがいますが、グローバルでの伸びはいかがですか?

ブレット:動画でのアプローチはこれまでテレビCMがメインでしたが、やはり時代が変わってきていると感じています。消費者がオンライン、特にモバイルでビデオを見るようになっているので、ビデオ広告の市場はグローバルでも非常に拡大している最中です。

 適切なユーザーに適切なタイミングでブランディング広告を展開する、我々のDSPのビジネス機会も広がっていると実感しています。

キーワードは「プレミアム」

MZ:米TubeMogulでは半年前、プログラマティックテレビを開始されました。これも先進的な取り組みだと驚きましたが、軌道に乗っていますか?

ブレット:ええ、順調です。テレビCMをビッティングで売買しているわけですが、それも含めて我々のソリューションも現在どんどん増やしている状況です。クロススクリーンの時代が始まっていますし、当社の技術をもってクロススクリーン時代のコミュニケーションに貢献したいと考えています。

スーザン:テレビの仕組みは国によって業界の慣習などが違いますが、日本でも多様化する消費者への対応には力を入れていきたいと考えております。

MZ:先ほど、日本市場での導入企業数はいまだ右肩上がりだとうかがいましたが、TubeMogulのビジネスを伸ばすにあたり直近の課題は何でしょうか?

近藤:日本市場では、新しい施策に積極的なアーリーアダプターといえる企業が一通り着手し、さらに追随する企業が使い始めてスケールの兆しが見えてきているという状況です。言い換えれば、キャズムを超え、アーリーマジョリティの企業に導入され始めている段階だと捉えております。

 そういった企業にビデオ広告を使っていただくためのキーワードが、「プレミアム」です。先ほども少しお話ししましたが、当社のDSPは広告掲載面にこだわり、ブランディングを実現できるプラットフォームを成立させています。その点を知っていただき、トライアルを促すことが直近の課題ですね。

モバイルでのプレミアムなビデオ広告をいかに増やすか

MZ:確かに、ブランド企業にとっては掲載面がプレミアムであることは重要ですね。その傾向は、米国でも同じですか?

ブレット:そうですね。プレミアム面に出稿したいというニーズは高いです。

MZ:ほかに、日本での課題はどのようなものがありますか?

スーザン:もうひとつの課題は、やはりモバイルです。今や消費者は、テレビよりモバイルに接触する時間の方が長くなっていますが、なかなかそれに見合うだけモバイル広告が定着しているかというと、ちょっとまだバランスが取れていないと感じています。広告主や広告会社がモバイルにあてる予算を考えても、そうですね。

MZ:ユーザー行動を考えれば、もっとモバイル広告が充実し、予算が割かれていてもいいと。

スーザン:ええ。逆にいえば、モバイルにはまだ大きなチャンスがあります。そこで当社でも、モバイルビデオのプレミアム在庫をいかに増やすかを模索しています。近い将来、モバイルの在庫がPCの在庫を上回るという予測も出ているので、確実にニーズはあると考えています。

米国本社も日本市場を重視、サポート体制を強化

MZ:TubeMogulはディマンドサイドに特化されていますから、在庫についてはどういうSSPと組むかという話になるのですね。パートナーとなる、プレミアム在庫を扱うSSPの温度感も変化していますか?

近藤:そうですね、もちろん活性化しつつありますが、花開くには在庫の数がハードルになっていますね。そもそも日本ではビデオ広告のプレミアム在庫の数が、日本のブランド企業のマーケティング活動にフィットする程度、出回っていないんです。まさにこれから、というところです。

  ただ明らかに、モバイルから見られる動画は増えているので、おそらく広告在庫が増える前にまずコンテンツが増えるというステップを踏んで、成長していくと思います。我々はそれを見込んで、いち早く広告を扱う準備をしていくのが大事だと捉えています。

MZ:日本市場を近藤さんが統括され、日本を含めてアジア全体はサロップさんがみていくのですね。

スーザン:そうですね。ただ、米国本社にとっても日本市場は重要なので、本社にも日本語ができる人を採用するなどして、日本でのビジネスをサポートする体制を整えています。

ブレット:グローバルで見ても、日本は米と中国に次いでNo.3の規模の魅力的な市場なので、2年前に日本初のビデオ広告DSPとしていち早くサービスを立ち上げたのです。

日本の市場環境を踏まえてサービスをローカライズ

ブレット:当社は米以外に11カ国で事業を展開していますが、ローカルカンパニーをとても重視しています。言語などの違いだけでなく、ローカルのデータパートナーやパブリッシャーとの提携が大事になるからです。適切なユーザーに適切なタイミングで接触するためには、データによるターゲティングが不可欠ですから。

近藤:ローカライズを重視する点は、僕がTubeMogulを選んだ理由のひとつでもあるんです。かつ、日本市場に対する期待とコミットメントが高い。賭けるべき会社だと思いました。

 国ごとに、強いメディアは異なります。ダイレクトレスポンス系はともかく、ブランディングはメディア環境をよく理解していないと難しいと思いますね。

MZ:では、今後の意気込みをお聞かせください。

近藤:昨年、TubeMogulはグローバルで227%成長し、今年も50%以上は伸びる見込みです。ビデオ広告分野では、非常にいいポジションで事業を展開していると思います。

 その中での僕の役割は、サービスを日本市場へフィットさせ、日本のマーケターに使いこなしていただくこと。そのためにシンプルなメッセージを開発し、効果的な使い方を丁寧に解説していきます。

 そして、日本ではやはり広告会社とのコラボレーションがとても大事なので、一緒にビジネスを大きくしていきたいと考えています。ビデオ広告に15年携わる中で、何度かあった強い追い風を今また感じています。これを逃さずに捉えていきたいですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2015/08/26 11:00 https://markezine.jp/article/detail/22907