複数のSNSをまたいだ拡散をすべて追って数値化
MZ:ということは、SEOなどからの誘導がかなり低いということですね。
水上:ええ。これが2つ目のポイントに関連しますが、バズを最大化するため、BuzzFeedではコンテンツの展開をすべて数値化しています。どのWebメディアもシェア数やRT数はを把握していると思いますが、その話題はまた誰かがシェアし、SNSを横断して広がっていきます。
BuzzFeedは一次展開だけでなく、その先まで効果を測定しています。さらに、それを分析して、拡散するコンテンツについて一定の方法論を確立しています。いわゆるメディア企業というより、ソーシャルを徹底して“科学”している、データカンパニーなんです。もともと、ペレッティ氏の「人はどういうコンテンツをシェアするのか?」という純粋な興味をコンセプトにしてできた会社なので、こういう素地があるのでしょうね。
MZ:なるほど。具体的には、どのような方法論があるのですか?
水上:(テーマ+フォーマット+配信先+ユーザー)=Ideaといった形に、コンテンツ作りを因数分解しています。例えば、米では流行る3つのテーマがあります。
「背の低い女性が海外旅行に行ったらよくあること」といった“あるある”ネタ(IDENTITY)、かわいい系や感動系などエモーショナルネタ(EMOTIONAL)、そしてノウハウなどのインフォメーションネタ(INFORMATION)があります。
(テーマ+フォーマット+配信先+読者)の方程式でバズを最大化
水上:フォーマットは、「○○なら見るべき20選」といったリスト記事や、診断コンテンツなど、数多くあります。これらに、Facebook、Twitter、Pinterestのどれが最もバイラルするかを組み合わせます。
MZ:それは、徹底していますね。オリジナルコンテンツということで、記者が個々の記事を手がけていると思いますが、こうした方法論に沿って書けるようになっているのですか?
水上:そうです。先ほどのようなサイエンスデータを元に、データサイエンティストではなく普通の記者やエディターが記事を書きます。バイラルを意識しながら記事をつくれる環境が整っているんです。
ポータルサイトとしてのYahoo! JAPANは私たちの自社メディアですが、トラフィックは担保できても、コンテンツづくりに強いかというとそうではありません。一方でここまで徹底したBuzzFeedの手法を見ると、やはりレベルが違うなと。良質なコンテンツの送り手の支援、また、ネイティブ広告の確立という点でも、協業して日本市場で展開したいと考えたのです。