CVRについてもう一度考えてみよう
前回のコンバージョン率(CVR)の話は、ちょっと結論を急ぎすぎた感がありましたので、今回は、もう少し掘り下げて「CVRってそもそも何?」というところから考えていきましょう。
皆さんもご存知だと思いますが、アメリカの著名なマーケティング・コンサルタントであるジェイ・エイブラハムによれば、マーケティングとは次の3つの過程だそうです。
1) 見込み客を探すこと
2) 見込み客を顧客にすること
3) 顧客にリピートしてもらうこと
つまり、CVRを考えるということは、この1)と2)の両方を同時に達成するための方法を編み出すことに等しいということになります。
言うのは簡単ですが、実際にはそんなに単純な話ではありません。コンバージョンはひとつのゴールではありますが、その過程はさまざま。それをどのように評価するかによって、CVRを稼ぐ手法も大きく変わってくるのです。
実は、数字のトリックを使えば、CVRを向上させることはさほど難しいことではありません。例えば、DMならば送付リストを厳選すること。世の中にProspect層のリストは数多く出回っていますので、高級車を売りたいのならその中から富裕層を、インテリア雑貨を売るなら20~30歳代の既婚層を抽出し、数を絞ってDMを打てばよいのです。発送数を抑え、確率の高い層だけを相手にする…このような手法を取れば、上記の1)と2)に関する効率は確実に高まりますので、CVRも間違いなく向上するのです。
しかし、皆さんの関心事であるWebでは、数字を操作することは難しいでしょう。訪問する人々を、その時点でセグメントすることはできません。SEO/SEMで飛び元(のキーワード)を特定したりして、母数を稼ぐことはできても、訪問者の質を向上させることは非常に困難なのです。極端な話、売上を伸ばそうとすればするほど、CVRが下がっていく可能性だってあるのですから。
このように、コンバージョンに至る過程はさまざまであり、数字の評価にもいろいろな考え方があります。次ページ以降では、DRMの世界を例にコンバージョンへの過程や手法を考えてみたいと思います。