実際にプロダクトの発売も
先ほどの事例は、研究段階のものだが、実際に商品化に向けて博報堂と共同で開発しているものがある。それは「Pechat」だ。
「『Pechat』は、ぬいぐるみにマイクとスピーカーになるデバイスを取り付けて、子供とぬいぐるみがコミュニケーションできるプロダクトです」(北島氏)
商品として発売するとなると、これまでの試験的に行ってきたプロジェクトよりさらに精度が問われるため、自然な会話になるようプログラミングやチューニングを注意深く進めている。
同社は現在開発しているプロダクトも含め、クリエイティブ発想でクライアントの商品のイメージ戦略や新しい取り組みを提供していきたいという。
「これを作りたい、という指定のソリューションありきでご相談いただくよりも、根本的な課題に対して何ができるかご相談ベースで応えていくことの方が多いですね。そこに対しAzureをはじめ、様々な技術を活用したご提案や実現ができればと思っています」(北島氏)
クラウドの支えの元に、新しい体験や感動をAIで拡張
最後にAIを使ったデジタルマーケティングについて、今後の同社の展望を伺った。
「まず一つは、ユーザーの行動動線をAIで分析させて、適切なUIを導き出すことも可能だと思います。今までのように人間の感性で決めるのではなく、データを元に根拠のあるUIが設計できると、クリエイティビティが高まるのではと考えています」(佐々木氏)
「新しい感動、体験を生み出すことを軸に企画を実装したいですね。あとは広告の場合、生活者の心をグッと掴んで初めて、伝えたいメッセージを受け入れてもらえる訳なので、その領域に人工知能がどれだけ応用できるのか注目しています」(北島氏)
さらに、9月から本格的に提供を始めるAzureに対する展望も聞いたところ、Azureをまずサーバーなどデータ基盤として幅広く提供していきたい考えだ。
「AIには潤沢なマシーンリソースが欠かせません。例えば囲碁やクイズでAIが人間に勝つにも、大規模なサーバーの処理能力を総動員しているからなのです。現在、クラウド基盤としてシェアを拡大しているAzureのパワーにはとても期待しています」(北島氏)
「APIの種類が豊富になると嬉しいですね。Azure自体の機能が拡張していくと、当社のアイデアも広がりますので」(佐々木氏)