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デジタルマーケティングプラットフォーム「Microsoft Azure」の魅力とは?(AD)

博報堂アイ・スタジオが語る、AI×クリエイティブ発想で生み出す新体験とは

 クライアントワークと研究開発の中で、AIを駆使した新しいクリエイティブを発表し続ける博報堂アイ・スタジオ。デジタル領域のクリエイティブ制作に強みを持つ同社は、現在どのような試みを行っているのか、同社 常務執行役員 テクノロジーソリューション本部 本部長 佐々木学氏とクリエイティブテクノロジー部 部長 北島知司氏に取材した。

50を越える職種でクライアントニーズに対応

 博報堂アイ・スタジオは、博報堂DYグループのデジタル領域の企画制作に携わっている。2000年設立当時の社員数は10名ほどで、キャンペーンサイトやコーポレートサイト制作を行っていたが、17期目の現在は300名以上。領域もWebの制作に留まらず、リアルな場を含めたマルチタッチポイントでのデジタルコミュニケーション構築など多岐にわたっている。

 今回のインタビュイーである佐々木氏は、同社のテクノロジーソリューション本部と自社事業本部に所属。そしてもう一人のインタビュイー、北島氏もテクノロジーソリューション本部に所属しており、同部は制作領域で受託プロモーションのためのテクノロジーを司っている。

(左)株式会社博報堂アイ・スタジオ 常務執行役員 テクノロジーソリューション本部 本部長 佐々木学氏
(右)クリエイティブテクノロジー部 部長 北島知司氏

 エンジニアリングに関しても、サイト制作やアプリ開発をはじめとしたフロントエンドから、サーバ―などのバックエンドまで幅広くカバーしている。特に、フロントエンド領域では高度な技術を活用するインタラクティブデザインチームや、アプリなどを担当するアドバンストテクノロジーチームなど特殊な部署がある。一方、自社事業本部は新ビジネス創出に取り組んでおり、研究開発組織であるフューチャークリエイトラボを設置している。

 さらに、同社はエンジニアのみならず、様々なプロデューサーやディレクター、デザイナーなどの各種スペシャリストも在籍し、クライアントに対してプロデュースから制作までをワンストップで受ける体制を持つほか、データを使ってクライアントのビジネスを伸ばす部署もある。また、グローバルビジネスセンターでは、ASEANを中心にボーダレスな事業展開を進めている。

 「当社には50を超える職種が存在しますが、その中から案件に応じて柔軟にチームを組みます。例えば、大規模なコーポレートサイトを作る場合と、広告賞を狙った先進的な企画を考える場合では、メンバーを大きく変える必要があります。クリエイターもエンジニアも職種を細分化していくことで、様々な企業のニーズをくみ取りやすくなるという強みがあります」(佐々木氏)

AI研究の取り組みの一環として、Microsoft Azureを導入

 そんな多くのスペシャリストを有し、様々な領域のプロモーションに対応する博報堂アイ・スタジオが、昨今注力しているのがAIの活用だ。2013年頃からAIに注目し、フューチャークリエイトラボで研究開発を開始している。また1、2年前からクライアントの案件でもディープラーニングを取り入れた事例も増えている。

 今年8月には「Creative AI 研究所」という専門組織を新設し、AIを活用しより直観的で人の感性に響くデジタルプロモーション、デジタルコンテンツ制作を目指し日々研究開発を行っている。

 「今、確かにAIは注目されていますが、実際の活用事例を見ると、問い合わせ対応の自動化など、何かしらの作業を効率化するものが多い。当社はそれだけではなく、AIの技術にクリエイティブ発想を掛け合せて、企業のブランディングに繋がる事例を作っていきたいと考えています」(佐々木氏)

 また、同社は研究開発に注力するために日本マイクロソフト(以下、マイクロソフト)との協業を発表した。協業内容としては、マイクロソフトが人工知能機能を有したサービスをAPI経由で提供するMicrosoft Cognitive Servicesを活用したソリューションの開発・提供を行うと同時に、パブリッククラウド「Microsoft Azure(以下、Azure)」の提供をクライアントに進めるというものだ(詳しくはこちら)。

 AI技術を活用したソリューション開発のみならず、パブリッククラウドを提供する理由について、佐々木氏はこう語る。

 「得意先の要望は多岐にわたります。プライベートクラウドだけでは実現することが難しいこともあります。パブリッククラウドなら、様々な要望に応えられるような選択肢を増やし、更に最適なソリューションを提供できると思います。加えて、既存のAPI群が安価に利用でき、セキュリティなどの対策も徹底できることもパブリッククラウドの利点だと思います」(佐々木氏)

 さらに、博報堂アイ・スタジオの強みが企画制作、クリエイティブ領域であることも今回の協業開始の一因となったという。生活者に届けるクリエイティブ領域では当然、新しい技術や表現、体験を生み出さなければならない。そのためには、技術のトレンドに常に追いついている必要があるのだ。

 「例えば人工知能だったら、その様々な技術の中で、新しい驚きや体験を提供するために何を使えばいいかという観点で考えています。マイクロソフトさんのコグニティブサービスを活用することで、新たな体験の企画とクリエイティブ開発、そして実装に集中できます」(北島氏)

AI×クリエイティブが創出する価値とは

 では、AIとクリエイティブを掛け合わせた取り組みとして、今後どういった価値、可能性が生まれるのだろうか。佐々木氏は、様々な社会課題の解決に繋がると示唆した。

 「例えば、言語コミュニケーションをAIで実現できると高齢者の孤独死の問題が解決するかもしれませんし、その他にも社会課題を解決するような取り組みを、今までなかった全く新しい領域で生み出せるようになると思います」(佐々木氏)

 北島氏は、データの中から法則性を見つけてどう制御するか考えていたこれまでと違い、今の人工知能では、人間が制御やロジックに関わることなく、データからその特徴量を引き出せることを指摘する。

 「今後は概念や感覚、直感のようなものがデータから導き出せると考えています。当然、これまでと違う、新しいアウトプットを生み出せるようになり、それを活かしたクリエイティブを創出できると思っています」(北島氏)

今までになかったものを自由に発想、制作

 ここからは、博報堂アイ・スタジオがAI研究の中で実際に行ってきた研究成果を三つ紹介する。

 一つ目は顔写真を大量に収集し、そのデータを元に人間らしきビジュアルを生成し、それを音楽に合わせて流すという事例。あえて、人間のようで人間でないものを生み出しアート作品らしさを出している。

 二つ目は人工知能ラッパー。単語を一つ入力すると、何万もの歌詞データから、その単語が埋もれている歌詞を抽出し、韻を踏んだ歌詞を自動生成する。まるで人間のラッパーがフリースタイルでラップを行っているかのように即興でラップできるものを目指したものだ。

 三つ目は「PLUS ANIMA(プラス アニマ)」というプロトタイプだ。テーブルの上に置いたモノが何であるかをディープラーニングによる画像ベースの物体認識で解析し、モノに魂が宿ったかのようにパーソナリティを持たせた演出を施すことで、人とモノとのコミュニケーションを可能にする。

 「三つの事例に共通しているのは、これまでになかった、実装できなかった発想を、人工知能が実現してくれるという点です。三つ目の事例でいえば、従来の写真やテキストでモノを説明するコミュニケーションから、モノ自体が声で伝えるという発想の新しいコミュニケーションを実現することができます」(佐々木氏)

 同社では、これらの取り組みで生まれた成果をクライアントにどう提供するか模索し続けている。くわえて、SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)をはじめとしたカンファレンスにも出展し研究成果を発表することで、反応を見て、広告新商品開発室という組織を介してクライアントへの横展開などを随時実践している。

実際にプロダクトの発売も

 先ほどの事例は、研究段階のものだが、実際に商品化に向けて博報堂と共同で開発しているものがある。それは「Pechat」だ。

 「『Pechat』は、ぬいぐるみにマイクとスピーカーになるデバイスを取り付けて、子供とぬいぐるみがコミュニケーションできるプロダクトです」(北島氏)

 商品として発売するとなると、これまでの試験的に行ってきたプロジェクトよりさらに精度が問われるため、自然な会話になるようプログラミングやチューニングを注意深く進めている。

 同社は現在開発しているプロダクトも含め、クリエイティブ発想でクライアントの商品のイメージ戦略や新しい取り組みを提供していきたいという。

 「これを作りたい、という指定のソリューションありきでご相談いただくよりも、根本的な課題に対して何ができるかご相談ベースで応えていくことの方が多いですね。そこに対しAzureをはじめ、様々な技術を活用したご提案や実現ができればと思っています」(北島氏)

クラウドの支えの元に、新しい体験や感動をAIで拡張

 最後にAIを使ったデジタルマーケティングについて、今後の同社の展望を伺った。

 「まず一つは、ユーザーの行動動線をAIで分析させて、適切なUIを導き出すことも可能だと思います。今までのように人間の感性で決めるのではなく、データを元に根拠のあるUIが設計できると、クリエイティビティが高まるのではと考えています」(佐々木氏)

 「新しい感動、体験を生み出すことを軸に企画を実装したいですね。あとは広告の場合、生活者の心をグッと掴んで初めて、伝えたいメッセージを受け入れてもらえる訳なので、その領域に人工知能がどれだけ応用できるのか注目しています」(北島氏)

 さらに、9月から本格的に提供を始めるAzureに対する展望も聞いたところ、Azureをまずサーバーなどデータ基盤として幅広く提供していきたい考えだ。

 「AIには潤沢なマシーンリソースが欠かせません。例えば囲碁やクイズでAIが人間に勝つにも、大規模なサーバーの処理能力を総動員しているからなのです。現在、クラウド基盤としてシェアを拡大しているAzureのパワーにはとても期待しています」(北島氏)

 「APIの種類が豊富になると嬉しいですね。Azure自体の機能が拡張していくと、当社のアイデアも広がりますので」(佐々木氏)

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この記事の著者

東城 ノエル(トウジョウ ノエル)

フリーランスエディター・ライター 出版社での雑誌編集を経て、大手化粧品メーカーで編集ライター&ECサイト立ち上げなどを経験して独立。現在は、Webや雑誌を中心に執筆中。美容、旅行、アート、女性の働き方、子育て関連も守備範囲。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/09/30 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25149