単純な視聴率ではなく「視聴後の行動」を測る2つの新指標
ブランディング目的で動画広告を活用する場合、メジャーメントは何を指標にして評価するべきか。多くの企業が頭を悩ませているのではないだろうか。今回、橋本氏はGoogle Analyticsを併用して、エンゲージメントクリックとエンゲージメントページセッションという新しい指標を導入・検証した。
当初は完全視聴率と単価によるスタンダードな視聴単価を調べた。これだけを見ると、視聴単価はTeads Japanよりも他のプラットフォームの方が断然安かったという。しかし、橋本氏はこの結果に納得しなかった。
「私はここ3年ほどジレンマを抱えていました。というのも、多くの方々に動画広告を見せた後にユーザーの動向を調査すると、あまり成果が出ていないことが多かったのです。そこで今回、動画広告の視聴によって興味関心を喚起できたなら、サイト訪問後の直帰率や閲覧ページ数のスコアは高く出るのではという仮設を立て、エンゲージメントクリックとエンゲージメントページセッションという新たな指標でのメジャーメントを試みました」(橋本氏)
エンゲージメントクリックとは、動画内で示したLPのクリック数から直帰したクリックを除いたもの。直帰を誤クリック等、訪問意図の低いクリックと考え、名前の通りエンゲージメントに寄与したクリックのみを抽出した指標だ。すると、Teads Japanを100%とすると他のA社が51%でB社が38%となり、他の動画プラットフォームに圧倒的な差をつけてTeads Japanが1位となった。
「この結果が視聴態度によるものではないかと考え加えた指標が、エンゲージメントページセッションです」と橋本氏。こちらは、複数のページを閲覧したセッションを抽出したもの。興味をもった訪問者は多くのページを見るはずだと考えたからだ。結果、Teads Japanを100%とすると、他社は約半数ほどのスコアとなった。
Teads Japanが高い数値を出した背景には動画が表示されるタイミングや、出稿先の質の高さが関係していると橋本氏は仮説を立てた。「これを確信に変えるために、他のブランド様でもテストをしました。サイトで店頭集客につながるショップ検索へのアクセス数や、ECのコンバージョンにつながる参照元メディアを調べると、エンゲージメントクリックやエンゲージメントページセッションが高いものが多いという結果になりました」(橋本氏)
動画を楽しんで、最終的には商品を手にしてほしい
エンゲージメントクリックやエンゲージメントページセッションはGoogle Analyticsを利用しているので、当然無料で算出できる。この点は横山氏にとっても目からウロコだったという。Teads Japanは2011年に生まれた比較的新しいプラットフォームであり、従来の動画プラットフォームが抱える課題を克服することを目的としているが、これらの指標はその価値を広めるチャンスになりうるという。
「とにかく動画を視聴させることだけが目的になっているクライアント様も少なくありません。ですが、重要なのはViewability を始めとするユーザーの視聴態度。ですからクリックが多いだけのプラットフォームに、大切な予算を使ってしまうのはもったいない。しかしGoogleAnalyticsを活用したこの指標により、導入・分析が難しいツールへの投資をせずとも視聴態度の質を見極める目を養えるのではないかと思います」(横山氏)
動画コンテンツ制作をニュースとしてメディアに配信し、WEBニュースなどでの拡散を狙うPR施策と並行し、動画広告によるターゲット層への幅広いアプローチを試みることが目的だったため、当初は視聴単価や完全視聴単価などを指標としていくつかのプラットフォームを選択していたが、橋本氏によって導入された新たな指標についても高く評価する。
「最終的には動画を見るだけでなく、ブランドサイトに来ていただき、売上につなげることが目標です。今回、2つの指標から単純な商品訴求により商品を押し付けることなく、動画を楽しんでいただき、自然とブランドに興味をもっていただけている様子を確認することができました。これは、今後につながる結果として、手応えを感じました」(森氏)
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