NTTデータは、人工知能(以下、AI)を用いて、アナウンサーが読み上げる気象ニュース原稿を気象電文から自動生成する実証実験を2016年9月から4ヵ月間にわたって実施。生成された気象ニュース原稿を評価した結果、日本語の文法は人が読んでも違和感のないレベルで、意味の正しさにおいては多少の修正が必要なものの、概ね気象電文と同じ内容の文書を作成できることを確認した。
同実証実験では、まずは気象庁が過去に公開した気象電文とアナウンサーが読んだニュース原稿をそれぞれ4年分用意し、原稿作成の規則性をディープラーニングで学習することで、ニュース原稿を生成するAIを構築した。
このAIに、新たな気象庁の気象電文を読み込ませると、AIが学習した結果を基にして、新たな気象ニュース原稿を自動生成するようになる。さらに、NTTグループのAI「corevo」の日本語解析技術を組み合わせ、自然な日本語の生成を実現させた。
次に、自動生成された気象ニュース原稿の「日本語文法の正しさ」と「意味の正しさ」を評価した。その結果、「日本語文法の正しさ」は、4点満点中3.86点(NTTデータ独自の採点基準)で、人が読んでも違和感がないレベルに達した。「意味の正しさ」は、4点満点中3.07点(NTTデータ独自の採点基準)で、自動生成された気象ニュース原稿をわずかに修正することで、元の気象電文と矛盾しないレベルに達していることが確認された。
今後、NTTデータでは、気象分野におけるニュース原稿自動生成AIの商用化を目指すとともに、企業の決算発表やスポーツ等、大量のデータをともなう分野においても新たな実証実験を行い、AI記者の他分野展開を目指していく。
同システムが実用化されると、AI記者が気象電文からニュース原稿を自動生成するため、人間の記者は、一から原稿を作成する必要がなくなり、原稿作成業務の効率化が可能になる。
また、AI記者は記事を高速かつ大量に自動生成することが可能。これにより、速報性が求められるスポーツニュースや災害情報のリアルタイム配信、地方のニュースの積極的な配信が可能になる。
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