「MAツール×DM」実証実験の結果は
アナログだけではなくデジタルと組み合わせることで、更なる効果が期待できる。これが、マーケターとMAツールベンダー共通の意見であり、さらに、それを証明するかのような実証実験の結果を発表したのが、最終セッションである第3部に登壇したSansanの石野真吾氏と日本郵便の鈴木睦夫氏だ。両社は共同で、最新のデジタルツールを用いてアナログを活用した、実証実験を行った。具体的には、MAツールの「マルケト」を使ったDMの送付である。
今回の実証実験の1年半ほど前、Sansanは「マルケト」を導入した。様々なデータをMAツールで統合し、見込み客をスコアリングすることで優先度を可視化して営業活動を行うことで、半年間で新規受注件数が2倍になるなどの成果をあげていた。MAツール導入の成功事例として評価される一方で、デジタルのみで活用していたため、オンラインだけではアプローチできない顧客がいると感じていたという。
一方日本郵便は、MAツールベンダーと協力し、DMをはじめとしたアナログ施策の実証実験を進めていた。ここで両者の思惑が一致し、実証実験の第一弾として取り組むことになったという。
実験の内容はシンプルで、これまでにメールだけでは商談に至らなかったが過去に名刺交換をした層に対し、「メールのみ」「DMのみ」「DM+メール」の3パターンでアプローチ。DMはシンプルなものにし、DM送付者に送るメールは、「お手紙をご覧いただけましたでしょうか」といった形にすることで、組み合わせの効果が感じられるように作成した。
この結果について石野氏は「以前、ターゲットを絞らずにDMを送付したことで失敗していたこともあり、プロジェクト当初は不安も多かった。蓋を開けてみると結果は圧倒的でDMとメールを組み合わせるとクリック率がメールのみの場合の1.8倍にもなり、受注貢献も想定の10倍以上であった」と語り、いかに今回の実験結果が予想以上に良いものだったのかをアピールした。
同氏は、その他にも今回の実証実験を通じ、受注への貢献効果をもたらす要因として、三つの気づきがあったという。一つめは、メールでは届かない層にきちんとリーチできたこと。二つめは反応期間の長さ。DM発送後、数ヶ月が経過しても商談に繋がるようなアクション喚起効果が続いているという。三つめはシャワー効果。上司から部下への紹介等、送付先のみではなく、物が届くことで部門内に拡散できるシャワー効果があった。これはオフラインのDMならではだという。