MMMに代わるエコシステムモデリング
次に濱口氏は、「マーケティングミックスモデル(通称MMM)」と呼ばれる、昔から使われているベーシックな手法を用いて、マーケティングで投資する際に、効果指標を売り上げとした場合の管理の仕方を紹介していった。
複数の時系列のデータを強引に分け、統計的に売り上げを分解すると円グラフや色分けができ、それぞれの要因の貢献度を把握することができる。MMMを活用すれば、売り上げの構成要因が明らかにできる。その結果、細かな部分での予算の配分を予想できるようになるのがMMMの利点だ。
しかしながら、顧客の購買行動は複雑になってきているので、実はMMMだと少し不都合があると濱口氏は課題を指摘する。MMMは旧来の手法であり、近年のプランニングには通用しないのだ。
そこで濱口氏が新しい手法の一つとして紹介したのが、「エコシステムモデリング」だ。エコシステムモデリングとは、インストラクションを考えながら、セールスまでの道筋を明らかにし、それを考慮した上でのモデリングや効果検証を行うものだ。
たとえばペイドメディアに出稿することによって、検索件数が14%増加し、それによりオウンドメディアへの流入が47%増加した結果、売り上げが2%増加する構造があったとする。この構造をYouTubeやFacebook、Twitterで全体として管理しながら、最終的な売り上げのパスを考えていく。つまり、直接的に購入につながっていなくとも、各連携の構造を見ておくことで、各マーケティング施策の貢献度合いを管理していくのだ。イントラクションを考慮すれば、デジタルの細かい施策のROIも算出しやすくなるのだ。