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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

定期誌『MarkeZine』特集

SNS上の声は宝の山「みんなの声」でファンを可視化

公式ページに出ることが「うれしい」につながる

――投稿を促すために、どういった工夫をされていますか?

 たとえば商品モニターの当選者に「ぜひハッシュタグをつけて投稿してください」と展開する場合も、決してお客様に対して強制するのではなく、自発的に投稿したいと思っていただけることが大切です。

 ただ、商品などのインセンティブだけが参加の動機かというと、そうではないんです。最初は私どもも、それが投稿のモチベーションになるのだと思っていたのですが、意外にも「サイトに載るのがうれしい」といった声が大きかったんですね。そもそもお客様はSNSに投稿することに非常に慣れていて、サントリーから投稿を促すキャンペーンなどがなくても、本当にありがたいことに、私どもの様々な商品やブランドに関わる投稿をしてくださるんです。

 工場見学やサントリーレディスオープンゴルフトーナメントなどのリアルなイベントの場では、写真撮影用の場所を設置しています。こちらからお声かけをしてパネルの前などで写真撮影し、アップに了承いただけた場合は投稿することもあります。そんなときも「載せてもらえるんですか?」と喜んでくださるんですね。ゴルフだと年配の方の参加も多いですが、年齢に関係なく、今はオンラインに写真が載ったりすることに抵抗もないし、うれしく感じていただけるものなんだなと実感しています。―― 雑誌の読者参加ページに近い感覚ですね。

 そうですね、そんな感じだと思います。あと、投稿しやすくする工夫としては、リアルな場になりますが、一部の工場には「#サントリーの工場見学」と書いたフキダシなどのプロップ(小道具)を用意したりしています。

プロップ(小道具)を使った撮影シーン
プロップ(小道具)を使った撮影シーン

リアルなものをアップしたい感覚強まる

――イベントはもちろんですが、商品を買って飲むところを撮る、というのもリアルな投稿ですよね。単にネットで流行った情報をシェアするのではなく、最近の写真中心のコミュニケーションだとリアル性が高まる感覚はありますか?

 まさにそうですね、リアルなものをアップする流れは増えているように感じます。また、お客様が撮られた写真は企業の公式カットよりも「臨場感」「親近感」があります。なので、お客様の文脈でつい撮りたくなる、そして発信・拡散したくなるような設定や状況を、ブランド側と常に話し合って考えています。

 たとえば、モニターキャンペーンでお届けする箱を素敵な箱にするとか、一見普通のバーコードだけどよく見るとブランドに絡めたかわいい工夫がしてあるとか。そういう部分に気づいてアップしてくれる方もおられるので、細かいところも大事だなと思っています。

――イベント系も含めて60ほどのブランドやテーマを扱うとなると、相当な数が集まると思います。写真のチェックや意見の精査などは、どのように行っているのですか?

 テキストベースの投稿にはリスニングツールを入れて、テーマに関係ない話題や必要以上のネガティブな言葉がないかをチェックしていますが、写真に関してはやはり目視ですね。協力会社に委託しており、判断に悩むものはブランド側も交えて一緒に考えます。一定数、載せられないものはありますが、OK なものの3分の1くらいはアップできているのではないでしょうか。

 また、酒類ブランドについては、キャンペーン参加時に必ず成人認証をするようにしています。逆に、「いいね」数が多いものなどといったことはしておらず、その部分はフラットに見て掲載するようにしています。

SNSはあくまでお客様の場参加させていただく姿勢で

――UGC活用もコンテンツマーケティングのひとつですが、本当に販売につながっているのかという議論もあります。効果測定含め、「みんなの声」の成果をどう見ていますか?

 まずKPIとしては投稿数とPV、滞在時間、それからSNSでのリーチを見ています。PVは、「みんなの声」自体と、そこからブランドサイトへ遷移した際のPVの両方をとっています。

 「みんなの声」自体と各ブランドサイトの展開を合わせると月間数十万人超の訪問があり、ブランドによっては滞在時間が他コンテンツよりも約2倍長くなるなど、一定の成果を挙げています。滞在時間はそのまま、ブランドとの接触が増えていることだと考えています。

 コンテンツを見た方のキャンペーン参加率が高いことも把握しています。投稿いただいた写真や言葉の力で「自分もやってみよう」と思っていただけるのは、UGCを活用するひとつの理想型なので、キャンペーン参加は態度変容という指標になると捉えています。

 また、食事のシーンで商品を撮っていただいていると考えると、購買にも近いのですが、残念ながらデータで追跡できてはいないので、そこは今後の課題ですね。

――SNS上の声は、リサーチの観点からも大いに役立つと思います。リサーチとして、あるいは広告としてなど、今後の活用の展望をうかがえますか?

 生の声はまさに、宝の山ですね。通常、FacebookやTwitterなどのリスニングと合わせて「みんなの声」の意見も、部内とブランドに随時フィードバックしています。こういったSNSの声にコールセンターへの入電、ブランド側が実施している市場調査などとあわせて、改善すべき点を洗い出して動いています。

 UGCをコミュニケーションに活用するのも、単に再投稿するのではなく、投稿いただいた方にまた新たな楽しみを見出していただけるような企画を実現したいと考えているからです。ただ、ソーシャルメディアはあくまでお客様の場ですので、私ども企業が参加させてもらい、商品との接点を自然に増やしていただいている、そんな感覚を今後も大事にしたいですね。

 今、本当に企業と生活者のつながりが“横並び”だと感じます。Twitterでのアクティブサポートも、スタートして3年になりました。最初は怖々とはじめましたが、おそるおそる話しかけてみると、普通の会話として受け止めていただけて、今ではOne to Oneのコミュニケーションができるようになっています。一つひとつのお客様の反応に機敏に対応していくことが、今後のコミュニケーションに不可欠ではないかと思います。

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この記事の著者

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 17:42 https://markezine.jp/article/detail/27239

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