H.I.S.のコミュニティマーケ施策「タビジョ」とは
“タビジョ”とは、エイチ・アイ・エスが展開するコミュニティマーケティングの施策の一つ。旅と写真に相性が良さそうな女子にターゲットを絞り、旅する女子のためのコミュニティとして2016年3月に始動した。具体的には、Instagramで同社指定のハッシュタグ「#タビジョ」のタグを付けた投稿を通して、コミュニケーションを図るというもの。スタートから約1年半で、投稿件数は45万件を突破し、公式アカウント「tabi_jo」は4万人以上のフォロワーを抱えている。
同社のコーポレートコミュニケーションチームでSNSを担当している丹下氏は、セッションの冒頭で同施策を行った背景として、生活者が接触する情報量の増加について言及した。
「1日に流通する情報量は、DVD3億枚分とも言われています。そんな膨大な情報が流通する中で企業が発信する情報は、ほとんどユーザーには届いていないのではないか。この点を自覚する必要があると感じていました」(丹下氏)
また、一般ユーザーのInstagram投稿写真を活用することに決めたのは“親近感”に狙いがある。というのも、PR用の写真は絶景などが美しく撮影されているのだが、“いつかは行ってみたい”“一生に一度は行ってみたい”などというように、現実離れしたイメージを与えてしまうことが課題としてあった。一方、Instagramに投稿されている旅好きの女子の写真は、絶景を背景にしながら上手く自撮りされており、旅行をより身近に感じさせるものが多かったのだ。
「生活者に伝わる情報は何かと考えたところ、旅行を一緒に盛り上げて訴求してくれる旅する女子たちを巻き込む施策にたどり着きました。中でも若い女性に人気のあるInstagramを活用することで、リアリティがありながら観光地の美しさなども訴求できるので、彼女らと組むことでかねてからの課題も解決できるのではと考えたのです」(丹下氏)
コミュニティ強化策1st 認知拡大までの苦労
丹下氏は“タビジョ”のコミュニティが自走するまでに至った過程を、4つのフェーズに分けて説明した。コミュニティ強化施策の第一段階で取り組んだのは認知拡大。このフェーズの該当期間は、施策をスタートした2016年の3月から9月まで。この時期はまだタビジョが認知されていないため、Instagramを地道に更新しながら、既に展開していたFacebookアカウントでも告知を行った。
しかし、最初はなかなか投稿件数が伸びなかったという。#タビジョを付けて投稿された写真を、公式アカウントで取り上げて紹介する機会を提供していたが、そもそも投稿される写真が少ないため何度も同じユーザーの写真を紹介するケースもあった。すると公式アカウントで紹介される喜びも薄れてきてしまう。そこで更なるモチベーション向上策として、2つの取り組みを実施した。
一つ目はオウンドメディア「Like The World」での記事作成の依頼。Instagramに#タビジョで、しばしば投稿してくれていた女性に、おすすめスポットを紹介する記事を作成してもらい、それを「Like The World」にて掲載した。この施策結果について「エイチ・アイ・エスとして我々が作成した記事よりも、彼女たちに書いてもらった記事の方がシェアの数が格段に増加しました」と丹下氏。 こうして企業外部のタビジョに書いてもらう記事は、「タビジョマガジン」として今では人気シリーズとなっている。
2つ目に実施したのは、「タビジョマップ」の作成。これはSNS映えする写真のみを表示する地図で、外部企業とのコラボ施策である。「初めにハワイ編の作成をスタートしまして、これは#タビジョで投稿された写真のみで作り上げました。マップに自分の写真が使われたことを喜んでいただき、認知拡大のきっかけにもつながりました」(丹下氏)
この第一フェーズの段階では、#タビジョでの投稿件数は1万枚ほど。丹下氏曰く、この1万枚までは投稿件数の伸びに苦戦したが、これを超えるとタグの存在が認識され始め、写真が集まるスピードが一気に上がったという。
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