専門チームで運用開始後も手厚くフォロー
MarkeZine編集部(以下、MZ):「LINE@」は、飲食店や流通小売店、美容サロンなど中小規模の事業主の販促施策に広く使われていますね。その正規代理店である御社の業務についてお教えください。
間宮:当社はデイリー・インフォメーショングループの1社として、観光による地域活性化をテーマに企業のプロモーションを支援している総合広告代理店です。私はその中で、主に「LINE@」、「食べログ」、旅行ガイドの「るるぶ」の扱いを統括する事業部に所属しています。各媒体とのやり取りとともに、クライアントのサポート業務を担当しています。直近では専門チームとしてサポートデスクを立ち上げて、クライアントの要望への細かな対応に力を入れています。
MZ:サポートデスクとして専任スタッフを置いている代理店は、あまり多くないのではないかと思います。
間宮:サポートデスク専任スタッフを配置している代理店は珍しいとLINEの方からも聞いています。当社が扱ういくつかの媒体のうち、LINE@は特に、継続して使っていただいてはじめて効果が上がるものだと思っています。ですので、新規で受注したから終わりではなく、その先の運用こそが大事だという考えが前提にあります。
弊社デイリー・インフォメーショングループでは、顧客の期待に応え、LINE@の効果を実感してもらうために、LINE@のサポートに特化したプロ集団としてのサポートデスクを北海道に設立し、グループ企業間の垣根を越え、すべてのお客様に丁寧なサポートを提供できるようにしています。
LINE@がメルマガに代わるリピート集客策に
MZ:LINE@の正規代理店になった理由をうかがえますか?
間宮:以前、自社運用のメールマガジンシステムを担当していたので、リピート集客の重要性は身に染みていました。10年ほど前から携帯キャリアメールの使用が減り、もっと有効なリピート集客の策がないかと思っていました。2012年にLINE@が登場し、メルマガに変わる有効な施策だと考えて正規代理店になりました。
メルマガの運用も続けていますが、ユーザビリティーや迷惑メールの設定などの煩わしさがない点で、LINEが主流になっていると実感しています。また、社内でもLINE@で自信を持ってリピート集客の提案ができるようになりました。
MZ:御社から見たLINE@の強みは、どういった点だと思いますか?
間宮:やはり7,000万のアクティブユーザーがいるという規模感が大きいですね。特に若年層ではまさに誰でも使っているサービスとなっています。
最近、北海道の大学で講演する機会があったのですが、その学校はスマートフォンで出欠を取るので、スマホを持っていない学生には貸し出していたそうです。それが一昨年は15台、昨年は0台になったと聞きました。スマホがあれば、学生ならほぼ全員がLINEを使っているでしょうから、そうした変遷に企業がコミュニケーション手法をあわせていく必要があります。
スーパーの商圏内の“友だち”に求人情報を配信
MZ:では、具体的にクライアントをどのようなサポートをされているのか、うかがえますか?
間宮:たとえば新聞折り込みチラシを併用しているスーパーなら、校了直前のチラシのデータを共有し、LINE@のテスト配信を行って、校了になったら実際に配信するという一連のプロセスを当社で代行しています。チラシの発行回数が多い企業だと、月17回にも上るので、その代行には「助かっている」という声をいただいています。料金的にも、サポート込みで、月額1万円で販売しているので、新聞で届かない層へのアプローチとしては圧倒的に安価だと思います。
MZ:効果測定は、どうされているのですか?
間宮:わかりやすいのは、やはりクーポンの配布ですね。スーパーやドラッグストアなどは、折り込みチラシの効果がわかりにくいという課題がずっとあったので、その点でもクーポンを活用しています。たとえば4,000人とつながっているドラッグストアで、月間500回ほどクーポン使用済みボタンが押されています。平均単価が2,500円程度なので、100万円単位で効果が出ていると聞いています。
MZ:リピート集客や売上獲得以外の活用目的は、何かありますか?
間宮:当社独自の提案として“友だち”への求人情報を配信しています。特にスーパーなどだと自宅から1~2kmの人が登録していることが多いので、募集人材の対象にもなるんです。某大手百貨店では、売上獲得よりも求人チラシのコスト削減を目的にLINE@を導入いただいているくらいです。
“友だち”獲得や売上向上のノウハウを提供
MZ:小規模な飲食店などだと、忙しい中で店員がLINE@の運用をしていくのは難しいと思いますが、どう対応されていますか?
間宮:東京など都市部だと飲食店などへのLINE@がかなり普及していると思いますが、北海道だと札幌でもかなりIT活用に積極的な先進企業や事業主が取り入れている状況です。これから第2陣の事業主が使いはじめる段階です。
ですから、リテラシーの部分も含めて、“友だち”の集客に有効なアプローチや効果的な売上獲得施策などを個別に提案し、集客チラシや店頭設置のPOP作りもサポートしています。業種別のレイアウト集を用意して、都度、店長や責任者の方と効果の見込める施策や伝え方を相談しています。
MZ:実際に“友だち”の集客に有効なアプローチや効果的なPOPがどのようなものか、教えていただけますか?
間宮:これは当社のノウハウになるので多くは語れないのですが……(笑)。たとえば「今“友だち”登録してくれたら10%オフ!」というPOPをよく見かけますよね? でも、これだと複数人で来店したとしても、そのうちの一人しか登録しません。LINE@の抽選サポート機能を使って「“友だち”登録してくれたら抽選で10%オフ!」とすると、その場にいる全員が登録してくれる可能性があります。抽選という仕組みをうまく活用するわけですね。
また、ハンバーグ専門店ではサイドメニューのクーポンより、ハンバーグの割引や増量がずっと使われる確率が高いといったこともあります。サイドメニューより、その店のメインのものがお得に食べられたほうが嬉しいですよね。細かいポイントですが、中長期的な関係を作ってリピートを誘引するLINE@だと、そういった小さな工夫が効いてきます。
クライアントとユーザー間のミスマッチを解消
MZ:継続的に運用を支援しているからこそのノウハウですね。他に店側がよく行う施策で、実は効果がイマイチだといったことはありますか?
間宮:店長さんの考えと消費者のニーズのミスマッチは、確かにありますね。たとえば「17時まで生ビール割引」などのハッピーアワー施策はよく聞きます。店側では空いている早い時間に来店して欲しいわけですが、消費者はその時間帯には行かれないことが多い。ですので、本当はお店が忙しくても、売上が高い18~20時台をさらに伸ばす方向で考えたほうがいいわけです。小規模な事業主も含めて、消費者とのミスマッチを防ぎ、間をブリッジするのが我々の使命だと思っています。
MZ:最後に、LINE@活用の今後の展望をうかがえますか?
間宮:サポートデスクを最大限に活用して、これまで以上にきめ細やかな運用支援をすることで、クライアントに継続的な成果を還元していきたいです。実際、LINE@の継続率は月ごとにみて98%と高いのですが、アカウントを開設しただけで効果が出る施策ではないので、一つひとつ工夫を重ねていくことが大事だと思います。
先ほどチラシやPOP作りもサポートしているとお話ししましたが、これも代理店によっては点数制限を設けていると聞きます。当社ではそもそも“友だち”を集めることも役割だと捉えているので、無制限で対応しています。今後も強力なリピート集客のツールとして既存クライアントを支援し、ノウハウを蓄積して、新しい事業主にもどんどんLINE@を使っていただけるようにしていきます。